「阿蘇山は活火山」観光客、7割しか認識せず 京大・東北大調査

 阿蘇山が活火山であることをはっきり認識している観光客は7割にとどまり、噴火リスクへの意識が不十分なことが、京都大と東北大の共同調査で浮き彫りになった。京都大火山研究センター(熊本県南阿蘇村)の大倉敬宏教授は「安全な観光継続へ情報発信や啓発強化が重要。登山者に緊急情報を伝えるシステムも必要だ」と指摘する。

 調査は2021年2月26日から3月2日までインターネットで行い、全国400人から有効回答を得た。

 それによると、活火山であることを「はっきりと分かっていた」との回答は約72%だった。一見、高そうだが、大倉教授は「火山の観光や登山は危険に自ら近づく行為」と指摘し、噴火リスクへの心構えがもっと必要だと説く。

 噴火警戒レベルの運用を「よく知っている」のは約30%。観光や登山時に警戒レベルを確認した人は40%に満たなかった。この結果を大倉教授は「火山の危険に無頓着なまま多くの人々が訪れる現状は放置できない」と語る。

 アンケートでは、パンフレットなどより、現地の看板や放送が印象に残っていることが示された。大倉教授は情報伝達には視覚・聴覚に訴えるのが効果的だと指摘。多言語での放送や案内に加え、ピクトグラム(絵記号)や「やさしい日本語」の活用も提唱する。

 昨年10月20日の中岳噴火では、福岡管区気象台が臨時解説情報を18、19日と立て続けに発表し、活動活発化に警戒を呼びかけた。これを受け阿蘇火山防災会議協議会は、噴火当日朝に登山路を閉鎖したが既に早朝登山者が入山していた。

 大倉教授は、登山者向けには防災アプリを使った一斉送信などの仕組みづくりを急ぐべきだと指摘。登山口にQRコードを掲げて、スマホで最新情報を得るような工夫も一案だとする。

 アンケートでは、死者58人、行方不明者5人を出し、戦後最悪の噴火災害となった14年の御嶽山(長野、岐阜両県)の噴火を、はっきり記憶している人は40%にとどまった。大倉教授は「あれほどの災害でも風化する。不断の啓発と情報発信が大切だ」と指摘した。 (堀田正彦)

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