AIで文章書き換え盗作 中国で「洗稿」横行 広告収入目当てか

 【北京・坂本信博】中国で、他人が書いたリポートや論評などの文章を人工知能(AI)を使って自動的に書き換え、自分のオリジナル文章として公表する盗作行為が横行している。「洗稿」と呼ばれ、インターネット上に投稿して広告収入を得ることが狙いとみられる。中国では近年、知的財産権保護の動きが強まっており、AI洗稿サービスを提供する企業に損害賠償を命じる判決も出ている。

 中国では、交流サイト(SNS)やネット上のプラットフォームに医療、科学、自動車、芸能、ゲーム、時事問題などさまざまな分野の記事を投稿し、閲覧数に応じて広告収入を稼ぐ手法が普及している。

 中国のネット上で「AI洗稿」と検索すると、さまざまな専用サイトや有料ソフトが表示される。文章を入力すると、AI技術で「中国」を「わが国」、「領域」を「範囲」などと類義語に置き換えたり、名詞や副詞を加えたり削除したりするだけでなく、ネット上の膨大な情報からさまざまな文章を抽出してつなぎ合わせる。数秒で書き換えが完了するものもある。

 本来は、AIを使って執筆作業の効率を上げるためのソフトやサービスだが、洗稿に悪用する事例が増えているという。無料サイトのほか、千語当たり数十~数百円など料金はさまざまで「無料なら疑似率50%。有料なら80~100%別の文章に変えられる」とうたう業者もいる。

 北京のIT業界関係者は「洗稿は著作権を侵害し、本当の著者が得るべき閲覧数と収益を横取りする悪質な行為。ただ、オリジナルを書いた本人が気付いて指摘しなければ、プラットフォーム側が盗作と見抜くのは容易ではない」と話す。

 中国メディアの広州日報によると、浙江省杭州市の裁判所は2020年12月、洗稿サービスを提供した企業に対し、サービスを停止してプラットフォーム側に10万元(約200万円)の損害賠償を支払うよう命じた。中国メディア関係者は「中国の官製メディアも、社説などを洗稿される被害に遭っている」と明かす。広州日報は先月下旬、「AI洗稿で独創の精神を洗い流させないために」と題した論評を掲載。懲罰的な損害賠償制度など対策強化を訴えた。

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