土手の自生樹木、急な伐採なぜ?川の景観一変「身近な自然を…」住民憤り

 徳島市三軒屋町を流れる多々羅川で徳島県が実施している河川維持業務に対し、付近の住民から疑問の声が上がっている。川沿いに自生する樹木を約1キロにわたって伐採しており、「住民の声を聞かずに作業を進め、身近な自然と憩いの場を奪った」「必要性や防災上の危険性が不明確だ」といった意見が徳島新聞の双方向報道「あなたとともに~こちら特報班」に寄せられた。県は「大雨や台風時に被害が拡大する恐れがある」と理解を求めるが、専門家は「住民の視点を取り入れた川づくりを行うべきだ」と指摘する。

 多々羅川の土手には自生した木々が生い茂り、長年人の手が入らず雑木林のようになっていた。県が伐採を始めたのは昨年12月だった。

伐採前の多々羅川

 近くに住む会社員齋藤千夏さん(25)らによると、今年1月下旬以降、伐採に気付いた複数の住民から疑問の声が上がり、県に説明を要請。県は2月に説明会を開いて▽本来なら毎年草刈りをして管理すべき堤防が80年間手つかずになっていた▽近年、各地で集中豪雨による川の氾濫などが起きており、国の予算を活用して樹木伐採を行っている▽通常業務の一環なので住民への周知はない-ことなどを説明した。

 これに対して住民側は、説明もなく伐採が始まったことを批判し、伐採の必要性や災害の危険性が明確でないなどと主張。伐採箇所の見直しや一時中止を求めて嘆願書を提出した。しかし、県は「止めることはできない」として作業を継続した。

伐採後の多々羅川

 付近の70代男性は「土手ができてから今まで何十年も放置していた。川の中なら分かるが、土手は河川の流れに影響がないはず」。70代女性は「野鳥の飛来や四季折々の花を楽しみにしていた。(伐採されて)こんな静かな春は初めて。風よけになっていた木がなくなり、風当たりが強くなった。どんな小さなことでも住民には影響があり説明すべきだ」と憤る。

 齋藤さんは「間伐ではなく伐採を行う必要があったのか。どんな危険性があるのかなども知らされず、住民にとって身近で大切な自然を奪ってしまった。日常の豊かさと防災のバランスを考えてほしい」と訴える。

 県東部県土整備局は「景観が一転することについては周知すればよかった。河川を維持していくことが大事なので、理解してほしい」と話している。

 現場を視察した徳島大の河口洋一准教授(河川生態学)は「景観は住む人にとって大事であり、木があれば利用する生物も必ずいる。災害のリスクを考えつつ、住民と管理者で川づくりを考えていくべきだ」と話している。(徳島新聞)

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