口上40分、玉三郎さん最後の八千代座 ぼろぼろ芝居小屋、舞台で復興支え

 歌舞伎役者で人間国宝の坂東玉三郎さんの特別舞踊公演が13日、熊本県山鹿市の芝居小屋「八千代座」(国指定重要文化財)で始まった。玉三郎さんが32年前からほぼ毎年続けてきた八千代座公演は「30周年記念」と銘打った今回の公演で最後となる。詰めかけたファンたちは、八千代座を舞台から支え続けた玉三郎さんの舞姿に、感謝と感動の拍手を送った。

 1910(明治43)年建設の八千代座は、戦後の娯楽の多様化で次第に衰退し、70年代以降は廃屋同然になったが、80年代から市民が復興運動を開始。それに共鳴した玉三郎さんは90年から、「平成の大修理」の時期を除くほぼ毎年、八千代座の舞台に立ち続けた。

 コロナ禍の影響で2年連続の延期を経て、開催にこぎ着けた30周年記念公演。約40分に及んだ口上で、玉三郎さんは八千代座との思い出を振り返り「これからも大勢の方々がこの場所を愛し、八千代座をめでる後輩たちが出てきて引き継いでくれるでしょう」と繁栄を願った。演目はファンから要望が多かった代表作「藤娘」と名曲「黒髪」を選んだ。

 八千代座周辺には、のぼり旗やちょうちんが掲げられ、市は午後5時の時報の音源を「藤娘」の楽曲「藤音頭」にして玉三郎さんへの感謝を表すなど、玉三郎さん一色。八千代座の隣の交流施設では、玉三郎さんの舞台衣装展(入場料千円)も開かれている。

 実行委員会によると、玉三郎さんの公演の来場者は今回で累計約18万人。元実行委員長の戸沢栄二さん(66)は「30周年公演を無事にできてうれしい。ぼろぼろだった八千代座が再興し、街もきれいになったきっかけをつくってくれたのは、玉三郎さん。感謝してもしきれない」と話した。公演は19日までだが、チケットは完売している。

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