年20万円も⁉住宅ローン金利差拡大 固定型上昇、変動型据え置き

 住宅ローンの固定型と変動型の金利差が拡大している。国内の長期金利の上昇を反映し、固定型の金利を引き上げる銀行が相次ぐ。一方、日銀の金融政策に連動する変動型は、超低金利で変わらない。金利差は1%を超え、年間返済額が20万円変わるとの試算もある。将来の金利上昇リスクに備えるために変動型より金利が高い固定型の負担が膨らむが、物価高で変動型にも金利上昇のリスクが出ている。 (石田剛)

 メガバンクは、5月に適用する固定型の住宅ローン金利を軒並み引き上げた。三菱UFJ銀行は、主力の10年固定型の基準金利を年3・69%、条件がいい最優遇金利を1・04%とした。いずれも前月より0・15ポイント上げた。今年は2、3月に続き3回目の引き上げだ。

 地方銀行の固定型の金利も徐々に上がっている。西日本シティ銀行(福岡市)は10年固定型の基準金利を2月と5月に0・05ポイントずつ引き上げ、2・80%に。福岡銀行(同)は3月に0・15ポイント、5月に0・10ポイント引き上げ、2・75%になった。

 一方、変動型は低く固定されている。メガバンクの基準金利は2009年1月以降、2・475%で据え置かれており、優遇金利も0・5%以下で推移する。地銀の基準金利も2%台後半~3%台前半で、優遇金利は1%以下が一般的だ。

 住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営するMFS(東京)によると、主要行の変動金利の平均値と、長期固定金利型住宅ローン「フラット35」との金利差は、5月時点で1・04%だった。比較を始めた17年以降で最も差が開いた。「元本3500万円で借りる場合、変動型と固定型で返済額に年間約20万円の差がつく計算になる」と、MFSの塩沢崇最高執行責任者(COO)は話す。

 固定型と変動型で金利の動きが違うのは、基準とする金利が異なるからだ。

 銀行は、長期金利の指標である10年物国債などの利回りを基に固定型の金利を決める。インフレを抑えるため、欧米の中央銀行は金融緩和の縮小に動く。大幅な利上げを進める米国の長期金利は上昇し、日本でも上昇圧力がかかっている。

 これに対し、変動型の金利は、銀行が半年ごとに見直している。その際、日銀の政策金利と連動し、企業に短期で資金を貸し出す金利を参考にする。日銀は16年からマイナス金利を導入しており、金利が上昇しにくくなっている。このため、住宅購入者の大半が変動型を選んでいる。

 ただ、ロシアのウクライナ侵攻や円安などで、日本も物価が上がっている。今後、日銀が金融緩和の縮小を迫られる可能性を市場は意識している。不動産コンサルタントの岡本郁雄氏は「将来の金利の予測をするのは難しいが、上昇のリスクも考えてローンを組む際には資金に一定の余裕を残しておくべきだ」と語る。

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