募金協力依頼に目安額、赤い羽根同封…「まるで強制」疑問の声

 「赤い羽根の募金はなぜ目安額が示されるのでしょうか?」。信濃毎日新聞の双方向報道「声のチカラ」(コエチカ)取材班に複数の読者から疑問が寄せられた。地区役員が募金を集める際に配布する文書などには1世帯当たりの目安額が示されており「強制されているかのようだ」という。取材してみると、市町村によって対応はまちまち。戸別募金に使う封筒から目安額を削除するなど、住民感情に配慮した対応をしている地区もあった。

 「毎年、目安額を示されるたび、もやもやした気持ちになります」。長野県北部の60代男性は話す。暮らしている地区の目安額は1世帯1400円という。昨年9月に配られた文書に明記されており、募金するかどうかも決めていないのに赤い羽根が同封されていた。「これじゃあまるで『送りつけ商法』。せめて目安額の記載だけでもやめてほしい」

 赤い羽根共同募金は社会福祉法に基づき、都道府県ごとに設置された社会福祉法人の共同募金会が実施。県内では2020年度、NHK歳末たすけあい募金を除くと、3億9300万円が集まった。このうち84%が戸別募金で集められたお金だ。

 では、目安額はどうやって算出しているのか?

 長野県共同募金会によると、戸別募金は県内77市町村ごとに設置している共同募金委員会を通じて集めている。集まったお金は市町村ごとに集計し、大半は市町村ごとの翌年度事業に充てられる。市町村共同募金委はまず、翌年度に計画する事業の総額を出し、各市町村の世帯数で割り返すなどして目安額を出しているという。

 県共同募金会の黒岩一郎常務理事は「あくまでも目安。強制ではない」とする。ただ、予定した額が集まらないと事業を取りやめざるを得ないこともあるという。

「自主的な判断で」記載削除も

 「目安額が示されないと逆に募金しづらいという意見もある」。一方で県中西部のある共同募金委担当者はこう指摘する。「協力いただけない世帯も増えている。一概に目安額を示すことが悪いということでもない」

 下條村共同募金委は、20年度に800~千円だった目安額を21年度は500~千円とし、下限額を300円引き下げた。担当者は「下限が800円だと大変との思いもあった」と説明。下限額についても「あくまでも目安。強制ではない」と強調する。

 一方、王滝村共同募金委は目安額が住民に与える心理的影響を考慮。10年ほど前に戸別募金の封筒にあった目安額の記載をやめた。担当者は「時代的な事情もあり、強制性をなるべく減らすため」と説明する。松本市共同募金委も封筒に目安額を記載しないようにしており、担当者は「あくまで自主的判断に委ねるため」としている。(信濃毎日新聞・牧野容光)

 赤い羽根共同募金 1947(昭和22)年、民間の「国民たすけあい運動」として始まった。敗戦による深刻な社会的・経済的混乱の中、戦災で住居を焼かれたり、親を失ったりした孤児の支援に力点が置かれた。51年、社会福祉事業法(現・社会福祉法)に位置付けられ、都道府県ごとに設置された共同募金会が主催するようになった。現在では1人暮らしの高齢者の孤立を防ぐ配食サービスや子育て世代が集まれるイベントの開催、子ども食堂の運営支援など、さまざまな用途に配分されている。

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