企業の好決算 経済の底上げにつなげよ

 大企業の好決算が続いている。この勢いを経済の好循環につなげたい。企業は積極的に設備投資や賃金引き上げに取り組んでほしい。

 SMBC日興証券によると、旧東証1部上場企業の2022年3月期の純利益は合計37兆円を超え、4年ぶりに過去最高を更新した。個別企業でも最高益の発表が相次いでいる。

 新型コロナ禍で落ち込んだ世界経済の回復や円安を追い風に、自動車や電機の輸出が好調だった。トヨタ自動車は売上高と純利益が過去最高だった。原材料価格の高騰で鋼材価格を引き上げた日本製鉄も最高益となり、NTTと日本郵船は純利益が初めて1兆円を超えた。

 資源価格の上昇も業績を押し上げた要因だ。大手商社7社と石油元売り3社はいずれも純利益が過去最高だった。

 九州でも、石炭や鋼材の価格上昇で三井松島ホールディングス(福岡市)や小野建(北九州市)が過去最高益となった。TOTO(同)は円安による海外事業の円建て収益の増加もあり、売上高が過去最高、純利益は2番目の好決算だった。

 コロナ禍の打撃が深刻だった運輸業界でも、西日本鉄道(福岡市)とJR九州(同)が2年ぶりに黒字転換した。国際物流や不動産部門などがけん引した。

 業種や地域に差はあるものの、多くの企業がコロナ禍を乗り越えつつあると言っていいだろう。

 問題は、好調な業績を日本経済の再生や地域経済の成長にどう結びつけるかである。配当を増やし、内部留保を積み上げても経済は回らない。

 この課題は政府の新しい資本主義実現会議の資料でも明らかになっている。

 大企業の経常利益は2000年度から20年度にかけてほぼ倍増し、配当は6倍近くに増えた。にもかかわらず、成長に必要な設備投資や人件費は横ばいで、中小企業の人件費は逆に約16%減った。

 景気を左右するのは国内総生産(GDP)の過半を占める個人消費である。先進国では可処分所得と個人消費がともに増えているのに、日本は可処分所得が増えず消費は伸び悩んだままだ。

 今春闘では定期昇給相当込みで2%台の賃金改定を確保したようだが、ベースアップ分は1%に満たない。

 家計は、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーや穀物の価格上昇と円安で食品などの値上げに直面している。物価上昇に賃上げが追いつかなければ、実質賃金が目減りし、消費にもマイナスだ。

 国際比較で見劣りするのは賃金だけではない。設備投資や研究開発投資も他の先進国に比べ伸びが鈍い。

 日本経済の地盤沈下を食い止めるには、企業が利益の株主還元偏重から転換する必要がある。従業員や取引先など幅広い関係者に目配りした経営が欠かせない。

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