病床で紅皿つづったおばからの「風変わりな贈り物」 石田柳子さんをしのぶ

 一人の「紅皿」投稿者がこの世を去った。福岡県大牟田市の石田柳子さん(77)。掲載作品は計5編。昨年11月には紅皿賞を受賞し、最後となった2月25日付紅皿特集の「いつか ぶっつけ本番で」は人の臨死体験に触れて、<(私は)さっさと逝くのでは>とつづった。その2カ月後、石田さんは逝った。どんな方だったのか。遺族を訪ねた。


いつか ぶっつけ本番で(2月25日付紅皿特集「どきどき」)
 妹はまだ少女の頃、夢の中で死んだことがあるという。彼女の言うところによれば、周りに控える家族に全然苦しくないと一生懸命伝えているのに、誰も分かってくれなかったという。
 私は現在、入院中だ。以前同室だったずっと年上の方は、三途の川ってさほど広い川ではないとおっしゃっていた。向こう岸に亡くなったたくさんの人が見え、「おいで」というそぶりをする。だが周囲を見回しても橋が見つからず、引き返して来られたそうだ。
 私はずーっと三途の川は舟で渡るものだと思っていた。幼い時分、死者は胸に掛けたずだ袋の中に、三途の川の渡し賃を入れて送られたものだった。だから橋を探すという発想にびっくりした。その方は普段、よく車に乗られる生活なのかもしれない。
 このように臨死体験をする人もいるらしいが、私にはその経験はない。いわばぶっつけ本番である。でも人の死はそれこそ千差万別で、他人の死はあまり参考にならないのではないか。
 遠くない将来、その日は必ずやってくる。自分では物事にあんまり執着がないつもりだから、はい、分かりましたとさっさと逝くのではと思うものの、さてどうなるか…。(76歳=福岡県大牟田市)


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