国境を越えた北斎(中) 昆虫モチーフで衝撃

 世界的な宝飾品ブランドとして有名なティファニー。その創業者の息子にあたるルイス・カムフォートは、ニューヨークに生まれ、フランスで学び、アール・ヌーヴォー様式にもとづくガラス工芸を得意とした。パリ万博で高い評価を得て華々しく活躍したこの作家も、われらが葛飾北斎の絵を自らの創作の参考にしている。ランプに使われたトンボの文様は「北斎漫画」からインスピレーションを得たモチーフ。北斎漫画が描く身近な昆虫は中国画のテーマにならうものだが、生き物を美術の主題として取り上げる発想は、北斎を仲立ちに、中国から日本、さらにフランス、米国へと継承される。西洋の芸術家は浮世絵が自然のモチーフを積極的に取り上げることに大いに驚いた。その衝撃がティファニーの煌(かがや)きと共に、ここに鮮やかに蘇(よみがえ)る。北斎はアジアと欧米を結ぶ美の架け橋となったのだ。

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