コロナ対策転換 混乱回避へ丁寧な説明を

 ワクチンの追加接種にはどれだけの効果があるのか。いつになれば社会経済活動の本格再開に踏み切れるのか-。

 新型コロナ禍対策の行方を巡り、国民の間に疑念や不安が交錯している。政府は近く始める4回目のワクチン接種や水際対策の緩和について目的や意義を丁寧に説明し、混乱の回避に努めてほしい。

 4回目の接種対象者は、60歳以上と18歳以上の基礎疾患のある人などに限定された。従来の子どもを除く「全員接種」から、なぜ転換を図るのか。まずは、この点について正確な情報発信が必要だ。

 国内で今接種するワクチンは中国で最初に出現したウイルスがもとになっている。当初は高い効果が期待されたものの、変異株に対しては感染や発症を防ぐ効果は限定的であることが分かってきた。現在のオミクロン株の流行が長期化した状況をみても、この点はうなずける。

 他方、オミクロン株は軽症で済む例が大半で、今のワクチンでも重症化を防ぐ一定の効果が表れている。そこで政府は接種の主眼を感染拡大の抑止から重症化防止に移し、対象者をリスクが高い人に絞り込んだというのが判断の大きな流れである。

 それでも課題は多い。特に気がかりなのは「基礎疾患のある人」を自治体がどうやって把握するかという点だ。

 政府は本人の申請に基づく接種券の送付や接種会場で直接申告してもらう方式などを例示している。自治体からすれば新たな手間と負担は大きい。地域ごとに対応が分かれて混乱が起きぬよう、事前準備の徹底が欠かせない。

 重症化リスクの高い人と接する医療従事者や高齢者施設の職員は今回の対象に加えるべきだとして、政府に再検討を求める声もある。海外の研究から、4回目の効果は3回目までと比べて長続きしない可能性があり、次なる戦略の在り方も問われている。

 政府は6月から1日当たりの入国者数上限を現在の1万人から2万人に拡大する。訪日旅行客の受け入れ再開に向け、近く米国やオーストラリアなど4カ国からの小規模ツアーを認める実証事業も始める。経済界や観光業界の強い要請を受けた、これらの動きも注視する必要がある。

 受け入れ枠の拡大に伴い、入国審査や検疫に隙が生じてはならない。実証事業に関しても、具体的にどんな点をチェックするのか、内容を明示し、結果を詳しく公表することが肝要である。

 効果がより高いワクチンや治療薬の開発はまだ途上だ。1日の新規感染者はいまだ昨夏の流行「第5波」のピークを上回る水準で推移し、死亡例も後を絶たない。新たな変異株への警戒も怠れない。

 新型コロナ禍の出口戦略のハードルは幾重にも連なっている。油断や焦りは排除し、国民の幅広い理解と協力を前提に、着実な取り組みを進めていきたい。

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