通学路400mにポール33本…車の速度抑制策やりすぎ?【動画】

 生活道路での交通事故を防ぐため車の走行速度を時速30キロに制限する「ゾーン30」。福岡市の50代女性から、「交差点などにポールが多く設置され、運転しにくくなった」という声が、西日本新聞「あなたの特命取材班」に寄せられた。400メートルほどの道路に据えられたポールは30本超。なぜこんなに? 取材を進めると、やむにやまれぬ事情が浮かんできた。 (竹中謙輔)

離合できず渋滞…接触する車も

 場所は福岡市中央区白金の高宮小周辺の通学路。幹線道路に囲まれた地区がゾーン30に指定されている。女性は通勤でゾーンを通る必要があり、自身では注意しながら運転。その上で「歩行者を守る必要は十分理解できるが、車が離合できずに渋滞が起きている。子どもを乗せた自転車やベビーカーも通りづらそう」と訴える。

 本来幅員4メートルの道路も、ポールがある場所では3・5メートルになる。四つ角では軽乗用車でもポールを避けて大回りする必要があり、ポールに接触する車もちらほら。離合では片側の車が停止することも多く、車が連なる状況もしばしばだ。

 しかし、高宮小周辺で朝、児童の登校を見守っているボランティアの男性は「幹線道路に通じる抜け道になっていて、(以前は)狭いのにスピードを出す車が多かった」と振り返る。保育園関係者は「車は通りにくそう。でも安全に歩けるようになりました」。

ドライバーの声は「意図した反応」

 このエリアがゾーン30に指定されたのは今年3月。市は地元住民と協議し、高砂1丁目交差点から那の川2丁目交差点までの約400メートルの区間に計33本のポールを設置した。

 中央区地域整備課の安海健太郎課長に聞くと「ドライバーからの『通りにくい』という声は、こちらが意図した反応でもある」。あえて離合しにくい幅員や、曲がりにくい四つ角に整備し直したという。背景にあるのは、ゾーン30そのものの抑止力の限界だ。

 日本大の小早川悟教授(交通工学)によると、ゾーン30は約10年前から各地で導入された。しかし当初から「車がスピードを落とさない」との指摘があり、3年程前からポールなどで速度を落とさせる取り組みが始まったという。

 福岡市にはゾーン30が76カ所(3月末現在)ある。2018年度以降、6カ所のゾーン30でポールを設置し、今後も増やす方針だ。一部のドライバーの危険な運転が、運転者全体にも迷惑をかけている。

良い効果と悪い効果の検証、公表を

 高宮小の鶴田千詠子校長によると、ゾーン30を設定する前年に、通学路で児童と乗用車が接触する事故があったという。「ゆとりを持って歩けるようになった」と、“車が通りにくい道”を歓迎する。一方で取材班には「ポールで道幅が狭められて不便になった」といった切実な投稿が高宮小周辺以外の複数の場所についても寄せられている。

 小早川教授は「今は良い効果と悪い効果を検証する段階。それを公表することが大切。行政、警察、地元が話し合いで検討するしかない」と言う。

 中央区の安海課長も、高宮小周辺のゾーン30について「ポールの本数や場所は調整することも考えている。歩行者を守りながら、良い配置を探る必要がある」と話している。

 投稿者の女性は、実は高宮小の卒業生でもある。「昔は道ばたで遊べる環境だったけど…」と複雑な心境だ。

テレQ「特捜Qチーム」と連携します

 警察庁によると、歩行中の交通事故による小学生の死者と重傷者は2009年の計約千人から19年にはほぼ半減。事故件数も減少傾向が続いていますが、「あなたの特命取材班(あな特)」が昨年ウェブサイトで「危ない通学路」についてアンケートを実施したところ、90件以上の声が寄せられました。あな特が連携するテレQ(福岡市)の「特捜Qチーム」とともに取材し、安全向上を目指す記事を随時掲載します。

 

関連記事

福岡県の天気予報

PR

PR