物価2%上昇 好循環へ政府の対策急げ

 消費者物価上昇率が2%を超え、日銀が8年前に掲げた目標に届いた。これは資源価格の上昇や円安の影響で、日銀が目指した姿には程遠い。

 このままでは家計が打撃を受け、個人消費が冷え込む恐れがある。経済の好循環に向けて、政府に実効性のある対策を求めたい。

 総務省が発表した4月の消費者物価上昇率は、変動が大きい生鮮食品を除いた総合で前年同月比2・1%の伸びだった。上昇率が2%を超えたのは7年1カ月ぶりで、2014年4月の消費税増税の影響を除けば実に13年7カ月ぶりとなる。

 日銀が2%の物価安定目標を導入したのは13年1月だった。2カ月後に日銀総裁に就いた黒田東彦氏は「2年程度で達成できる」と自信を持って異次元金融緩和に踏み切ったが、物価は思うように上がらなかった。目標達成への思いは強いはずだ。

 それなのに日銀に歓迎姿勢は乏しい。足元の物価上昇は経済活動が活発になったためではなく、原油急騰やロシアのウクライナ侵攻による穀物価格上昇といった外部要因の影響が大きいからだ。

 生鮮食品とエネルギー価格を除くと、4月の消費者物価の伸び率は前年同月比0・8%にとどまる。経済活動が持ち直し、インフレが進む欧米との違いは大きい。

 物価の上昇圧力は継続しそうだ。日銀が発表した4月の国内企業物価指数は前年同月比で10・0%上昇した。原材料価格の高騰に伴う商品の値上げが相次ぎ、2%程度の物価上昇がしばらく続く可能性もある。

 気になるのは長く伸び悩んでいる賃金の動向である。物価変動の影響を除いた3月の実質賃金は前年同月比で0・6%の増加に転じたが、個人消費を押し上げるほどの力強さはない。

 岸田文雄首相が大企業に3%の賃上げを期待した春闘はまずまずの結果となった。経団連が発表した大企業の定期昇給込みの平均賃上げ率は2年ぶりに2%を超え、業績が新型コロナ禍前の水準を回復した企業では3%の賃上げを確保した。それでも過去最高益が相次ぐ決算内容と比べれば物足りない。

 物価高対策で政府はガソリンなどの燃油価格抑制と、低所得の子育て世帯への5万円給付を決めた。持続的な経済成長には脱炭素社会を目指すグリーン化やデジタル化が不可欠だ。官民一体で革新的な技術開発を進め、成長分野への労働移動を支援するなど、企業が積極的に設備投資や人的投資に取り組めるよう政府が後押しすべきだ。

 賃金の底上げには非正規労働者にも波及する最低賃金の引き上げが有効だ。岸田氏は1月の施政方針演説で最低賃金について、できる限り早期に全国加重平均で時給千円以上となるように取り組むと表明した。政治主導で賃金の底上げを実現してほしい。

関連記事

PR

PR