疲れていませんか?1日5分から始めるスマホ脳の休ませ方

 いつでもどこでもインターネットとつながるスマートフォンなどのデジタル端末。それらとあえて距離を置いて生活する「デジタルデトックス(解毒)」が注目されている。デジタル機器は使い過ぎると脳が疲労し、物忘れや無気力などの症状を引き起こす危険性が指摘される。たまにはスマホを放り出し、脳を休めてみませんか。 (梅本邦明)

首回りが重く不安

 東京都の主婦朝倉和代さん(48)は昨秋、デジタルデトックスを始めた。スマホの画面は常にモノクロに設定。通話や交流サイト(SNS)の通知音は消し、メールやSNSでメッセージが届いてもこまめに返信しない。就寝中は寝室以外の部屋に機器を置く。

 きっかけは心身の不調だ。長く勤めた公務員を2020年に退職。コロナ禍も重なり、自宅にこもってスマホを使うことが増えた。料理の合間も頻繁に手に取り、買い物でレジに並ぶ間も目が離せない。寝室に持ち込み、就寝前にニュースやSNSを1時間近く見ることもあった。眠りは浅く、深夜に目が覚めてはまた触る。「いつも首回りが重く、何となく不安で、起きてもすっきりしない」

 1年半余り後、日本デジタルデトックス協会(東京)の講座を受けた。寝室にデジタル機器を持ち込まない▽通話やSNSの通知をオフにする▽不要なアプリを消去する-。取り組みを実践すると機器の利用時間は1日4~5時間から2時間ほどに。次第に首の痛みも取れ、深く眠れるようになったという。「スマホから解放され、自分のペースで過ごせるようになった」

脳内「ごみ屋敷」に

 デジタルデトックスはスウェーデンの精神科医が20年、スマホ依存に警鐘を鳴らす著書「スマホ脳」を刊行したのをきっかけに関心が高まった。

 総務省の20年の全国調査(1万7345世帯回答)ではスマホを保有する世帯は86・8%(前年比3・4ポイント増)。同省の別の調査(20年度、対象1500人)によると、平日のネット利用時間は平均168・4分(前年度比42・2分増)で、テレビ視聴時間(平均163・2分)を上回った。

 スマホと脳の関係に詳しい「おくむらメモリークリニック」(岐阜県)の脳神経外科医、奥村歩さん(60)によると、脳の情報処理は(1)入力(2)整理(3)出力-の順に行われる。デジタル機器を休みなく使い続けると、大量の情報が絶え間なく流入し、脳内で整理されずに「ごみ屋敷」のようにたまり、「脳過労」の状態に陥る。すると物忘れやいらだち、抑うつなどの症状が起きる恐れがあるという。

 「スマホは使い続けるよう仕掛けが施されている」。そう話すのは早稲田大理工学術院の枝川義邦教授(脳神経科学)。画面上は鮮やかな色で楽しい気分を引き起こすよう工夫され、ニュースやSNSを読んだりキーワード検索したりすれば関連記事や広告が表示されて関心を途切れさせない。「スマホに人間側が使われている」

 枝川教授によると、パソコンとスマホを同時に使ったり、複数のアプリを開いて行ったり来たりすることも負担が大きいという。「別の作業に切り替えるたびに脳内にストレスがたまり、効率も落ちる」

「1日に5分でも」

 奥村医師が勧めるのは1日の利用時間と目的を書き出すことだ。どうしても必要な利用は「青」▽無駄は「赤」▽暇つぶしは「黒」-と色分けし、赤や黒を減らす。「1日に5分でも使わない時間を増やそう」。枝川教授も「トイレや寝室など使わない時間と場所を決める」ことを勧める。

 日本デジタルデトックス協会の森下彰大理事は「脳の疲労は気付きにくい。時代に合った休ませ方が必要だ」。その一つが催しに参加したり旅行に出かけたりすること。協会は月1回、土曜日夜にオンライン集会を開催。参加者は午後9時頃にそれぞれの端末の電源を一斉に切って、翌朝再集合。感想を話し合う。

 旅館やホテルなどを運営する「星野リゾート」(長野県)は国内5カ所で、宿泊客がチェックイン時に端末を施設に預けて地元の自然や文化に親しむプラン「脱デジタル滞在」を提供。「星のや京都」(京都市)では寺で読経を聞いたり、貸し切りの屋形船で大堰川を周遊したりできる。19年のサービス開始以降、10件の利用があったという。

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