「米買えぬ」「進学諦めた」ひとり親家庭の25%、コロナ第6波で大打撃

 新型コロナウイルスの流行「第6波」で、休校によりひとり親家庭の25%が減収となるなど、大きな打撃を受けていることが、認定NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京)などの調査で明らかになった。オミクロン株が猛威を振るった2月の平均月収は13万円台で、非正規雇用の人に限ると11万円台と低迷。長引くコロナ禍は低収入世帯の家計を直撃している上、公的支援が届きにくい状況も見え隠れする。 (編集委員・河野賢治)

 調査は3月、全国(北海道と沖縄県を除く)で同法人の食料支援を受けているひとり親約2400人にインターネット上で実施、約1540人から有効回答を得た。多くはシングルマザーだった。

 回答では、仕事に就いている人は81・4%いたが、パートや派遣社員など非正規雇用が67・7%を占めた。2月中に仕事をしていた人の平均月収は13万6千円。正規雇用の19万2千円に対し、非正規は11万7千円と差が目立った。

 第6波では、休校や学級閉鎖、保育所・幼稚園の休園が相次いだ。自宅で子どもの面倒を見るため勤務を減らすことになり、昨年末から2月末にかけて収入が減ったと答えた人は全体の25%に上った。

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 自由記述には多くの苦悩が記された。

 学校などの臨時休業で仕事を休まざるを得ない保護者について、収入を保障する国の助成金を申請したくても、勤務先の協力を得られない例が複数あった。休校の影響で就職活動ができないという悩みも届いた。

 食料や日用品の購入にも支障が生じている。米などの主食を買えないことが「よくあった」「ときどきあった」と回答した人は45・7%。衣類や靴を買えないことが「よくあった」「ときどきあった」と答えた人は80・4%もいた。

 「給食がなくなり、家計の負担が増えた」「食費は2人で1日300円」「子どもの高校進学で制服代や教科書代などの出費があり、家計が圧迫される」といった悲鳴も寄せられた。

 2月中に貯金を取り崩したとの回答は約6割。同法人などが2020年8月~21年5月にシングルマザーに実施した別の調査では、貯蓄が10万円未満の世帯が3、4割を占めている。少ない蓄えを生活費に充てている窮状がうかがえる。家族や親族、公共機関、金融機関から借り入れをしているケースも目立った。

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 影響は子どもの進路や学業にも及ぶ。「(進学先を)費用の安い学校、学部、学科に変更した」「進学自体を諦めた」との声も少なくない。

 同法人の赤石千衣子理事長は「これまでのような困窮世帯への現金給付も緊急的に必要だが、経費や固定費に充てられている面がある。物価が高騰している中、ひとり親世帯の児童扶養手当を増額するなど長期的な対策を考えてほしい」と訴えている。

「長期化でむしろ厳しさが増している」
「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福岡」大戸はるみ理事長 「雇用側も理解してほしい」

 新型コロナウイルス禍でひとり親家庭が窮地に陥る状況は、福岡県内でもみられる。NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福岡」(福岡市)の大戸はるみ理事長(72)は「感染拡大の初期から状況は変わっておらず、長期化でむしろ厳しさが増している」と危機感を募らせる。

 法人は2020年度、個人から集まった寄付金などを基に、シングルマザーを中心とするひとり親世帯への食料支援を始めた。米や缶詰など約4千円分を箱詰めし、20、21年度にそれぞれ福岡県内などの延べ約千世帯に郵送した。

 昨年秋に実施した利用者アンケートは46人が回答。コロナの影響で解雇された▽濃厚接触者になって出勤停止となり、収入が半分以下になった▽勤務先の飲食店が時短営業になったので勤務時間が減り、今は求職活動をしている-などの声があった。今年3月に別の事業で実施した食料支援のアンケートでも同様に困窮に苦しむ声が寄せられた。

 ワクチン接種の副反応もあって仕事を休むことが増えたケースや、コロナ禍の不安から心身の調子を崩して出勤できなくなったという例もあった。大戸理事長は「コロナ禍が収束せずに気を抜けない状況が続き、疲弊の色が濃くなっている。ひとり親が急に仕事を休まざるを得ない状況を雇用側も理解してほしい」と話した。

トーク

 新型コロナウイルスの感染拡大から2年以上が過ぎても、ひとり親世帯が直面する厳しい状況は変わっていない。支援団体の調査結果で困窮ぶりがよく分かった。

 ひとり親、特にシングルマザーは非正規労働者が多いという。学校などが休みになると、自身も仕事を休み、減収に直結する。不安定な雇用形態のマイナス面がコロナ禍で浮き彫りになった。

 東京の団体の調査では意外な結果も見られた。急場をしのぐための借入先は家族や親族が最も多く、公的機関とクレジットカードのキャッシング機能が同水準で続いていた。公的な貸し付けには無利子や返済が免除されるものもあるのに。

 仕事と子育てに追われ、行政に相談する余裕もない姿が目に浮かぶ。長期的な生活支援をすぐ実現するのは難しくても、せめて今ある援助は隅々まで届けたい。悩む家庭はそれを待っている。 (河野賢治)

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