賃金「変わらない」現場の実態浮き彫り 【JOD3紙合同アンケ】

 労働者を対象に西日本新聞、熊本日日新聞、南日本新聞が実施した賃金の合同アンケートで、低賃金が続く現場の実態が浮き彫りとなった。仕事をする約1470人のうち4割強が過去5年間で賃金が「増えた」と答えたものの、パート・アルバイトでは上昇幅が100円未満の微増が多く、非正規社員は「変わらない」が最多だった。九州は時給のベースとなる最低賃金(最賃)が低く、引き上げを求める声が強まっている。

 「100円ショップ」に勤務している鹿児島市の女性(52)は「最賃が上がった時だけ時給が上がる」と回答した。5年間の上昇幅は50円にも満たない。一方で現場は慢性的な人手不足が深刻化しており、福岡県春日市のサービス業の女性(49)は「パートを募っても人が集まらず、時給が上がっている」と感じている。

 期間の定めがある非正規雇用の人からは「単年度の契約で、定期昇給も賞与もない」(福岡県筑紫野市、サービス業の58歳男性)といった声が届いた。60~65歳では「定年後再雇用で嘱託社員となり給料が減った」という人も少なくない。

 福岡市の電機メーカー勤務の男性(59)は「50歳以上の管理職以外は、戦力外通告のように月給も賞与もどんどん下がる」と嘆く。

 賃金の増加は業種での“格差”もみられた。「医療、福祉」では45・6%が「増えた」と回答。理由として、福祉・介護職員を対象に今年2~9月に収入を3%程度引き上げる厚生労働省の処遇改善措置を挙げる人もいた。一方で「運輸、郵便業」では賃金が増加したと答えた人は29・1%にとどまった。新型コロナウイルス拡大による利用客の低迷を挙げる声が散見された。

 将来の賃金見通しについて聞くと「給与が増えても、税金や物価の上昇で上がった感じが全くしない」(熊本県八代市、39歳男性)などと悲観的な声が相次いだ。

 (福間慎一)

大学パート職員、時給上昇3年で97円

 「職場の雰囲気はとてもよかった。だけど…」。現在求職中の福岡市の40代女性は2018年から3年ほど、福岡県内の大学でパートタイムの事務職員として勤務した。

 当初の雇用契約は3年間。5年を限度に更新できるが、4年目に入るときに「勤務の曜日や時間、仕事内容は一切、変更できません」と告げられ、仕事に自分を合わせなければならないことへの違和感を覚えた。

 事務職員とはいえ、業務内容は研究室の予算管理や教官のスケジュール管理、学生の世話など多岐にわたった。3年間の時給上昇幅は97円。期間満了後も働きたい時はもう一度応募して試験を受けるしかない。「経験があって業務のスキルは上がっているにもかかわらず給料は振り出しから。損をした気分になる」と表情を曇らせる。

 民間企業で働いた後、子育てのため一度退職。10年を経て復帰したパートだった。40代のうちに別の仕事を探そうと、ハローワークで類似の業務に応募したが、書類選考を突破できない。「年齢のせいでしょうか。社会から疎外された気分になる」という。

 職場の人間関係は良く、もっと長く勤めたかった。それでも、低いままの待遇が“常識”になっていると感じる。「不満は強いけれど、『じゃあ来なくていいよ』と言われると思うと声は上げられない。大学側からすると、(子育て後で働きたい女性の)『替えはいくらでもいる』と思っているのでは」

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