三男が変になったけど、ボスに迷惑をかけたくないのが一番だった【5歳餓死公判・母の肉声詳報㊥】
福岡県篠栗町で2020年、「ママ友」のうそを信じ、当時5歳の三男に十分な食事を与えず餓死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の碇(いかり)利恵被告(40)の裁判員裁判の判決が17日、福岡地裁で言い渡されます。公判で碇被告は罪を認め、共犯として起訴された「ママ友」の赤堀恵美子被告(49)から生活全般を支配されていたと主張しました。関係者によると、2人の被告の言い分は大きく食い違っているとみられます。今回は碇被告の被告人質問を編集した詳報全3回の2回目です。
《碇被告の長男と次男が通う小学校、三男の翔士郎ちゃんの幼稚園から「体重が減っている」との情報を得て、町役場や児童相談所は19年秋以降、家庭訪問を繰り返した。しかし、赤堀被告と碇被告は対応を拒否。周囲に知られることのないまま、碇被告と子どもたちの日常は悪化の一途をたどる》
❶周りの人がみんな敵だと思っていた-2019年~
■「母も姉もみんながスパイ」と言われていた
碇被告の弁護士(以下Q) 19年11月、公的機関が自宅を訪問した。その時、助けを求めたか。
碇被告(以下A) できませんでした。役場の人がおうちに来た時は、玄関に付いているカメラでボスが見ている。「助けてください」と言えなくて突き放すような態度をしないといけなかった。
Q 「食べるものがないです」と相談したらどうなると思った。
A 私たちは怒られて、ボスから借りているお金を一括返金させられる。当時は人に「助けてください」と言えるような感じじゃなかった。赤堀被告から言われていたので、周りの人がみんな敵だと思っていた。母も姉も、出会う人、出会う人、「みんながスパイだ」と言われていたので、私から話をすると、ボスの耳に入る。だから言えませんでした。
Q 家にカメラが付いていても警察に行ったり、外に出たりしようとは。
A カメラは全部の部屋に付いていた。駐車場にもカメラがあったので、できませんでした。赤堀被告は「警察に行くな」と言った。「ボスがいろんなことを助けてくれている。ボスは前科があるから警察に行くな」と言われていた。
■トイレでは新聞紙を破って使わせた
Q ガスが止まった後、生活用品はどうした。
A トイレは、(トイレットペーパーを買う)お金がなく、新聞紙を破って、子どもたちに「やわくして使いなさい」と言って。新聞紙をこうして(手でもむしぐさ)やわくして。
Q 靴は。
A 買えなかったので、破れていた。毎週末、靴を洗って縫っていました。上靴も破れていたので、木工用ボンドで穴埋めをしていた。
Q 髪は。
A 伸び放題でした。伸びていたので「ママここ(耳の辺り)切って」と言われたことがあったんです。長男が言ってきたが、もちろん勝手に切ることはできなかったので、赤堀被告に「切っていいか」と許可をもらおうとしたけど、赤堀被告に「切るな」と言われて、切ることができなかったんですが「ボスが丸坊主にするんだったらいいよ(と言っている)」と赤堀被告が私に言ってきたんです。「(赤堀被告が)丸坊主だったら髪を切っていいよと言ってくれてるけどどうする」と聞いた。「丸坊主でいい」と言ったんです(涙を流す)。
運動会の前日に3人(の息子)とも床屋さんで丸坊主にしてもらいました。赤堀被告の子どもは普通のかっこいい髪形になってて、それを子どもたちは横目で見ていました。
■1万円渡されパチンコ。勝った分はすべて渡した
Q 当時の生活状況は。
A 朝、仕事に行くふりをして家を出て赤堀被告の家に行って、買い物に付き合わされたり、一日中怒鳴られたり、1万円を渡されて「これでボスに返す金をつくれ」と言われ、パチンコに行ったりしました。
Q 買い物とは。
A 赤堀被告が化粧品とかを買う時に荷物を持っていました。
Q 文句を言われることは。
A 翔(翔士郎ちゃん)が留守番できないこと、私がお金をつくれないことに罵声を浴びていました。
Q その時の状況は。
A 私は床に正座して、赤堀被告はソファに座ってテーブルに足を乗せていました。「あんたは子どもに甘い。子どもから動かされている」と言われました。

Q 碇被告への罵声は、他には。
A 「恩をあだで返すな」「今まで、うちがしてきてばかみたい」「なんであんたは生まれてきた」
Q 他には。
A いっぱいありすぎて…。「死ね」とか「海に沈める」とも言われました。大阪に行って働けとも。
Q 大阪とは。...
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