息をしていない…119番ではなく「ママ友」に助けを求めた【5歳餓死公判・母の肉声詳報㊦】
福岡県篠栗町で2020年、「ママ友」のうそを信じ、当時5歳の三男に十分な食事を与えず餓死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の碇(いかり)利恵被告(40)の裁判員裁判の判決が17日、福岡地裁で言い渡されます。公判で碇被告は罪を認め、共犯として起訴された「ママ友」の赤堀恵美子被告(49)から生活全般を支配されていたと主張しました。関係者によると、別に裁判が行われる予定の赤堀被告は事件への関与を認めておらず、2人の被告の言い分は大きく食い違っているとみられます。碇被告の被告人質問を編集した詳報全3回の最終回です。
《三男の翔士郎ちゃんは2020年4月18日夜に亡くなった。
検察側の質問が続く》
❶ドラえもんを見た後に-2020年4月18日
■頭…。(黙り込む)
検察官(以下Q) 4月18日の行動について思い出せますか。
A 大丈夫です。(涙ぐむ)
Q 午前中は家族4人で家の中で過ごしている。朝、昼は4人とも食べてない。
A はい。
Q 午後、翔士郎ちゃんは兄2人とボール投げをしている。その時に「ちょっときつい」という発言があった。
A 覚えてません。
Q 午後5時ごろ、翔士郎ちゃんは目がふらついて、頭を壁にぶつけたりしている。ドラえもんを午後5時から5時半まで見て、その後「きつい、頭が痛い」と倒れ込んだ。あなたはどうしましたか。
A 翔(注=翔士郎ちゃん)が…。
Q 分からない?
A 翔が倒れたんですか。
Q うん。「きつい」とか「頭痛い」と言ってドラえもんを見て倒れ込んだんだけど、はっきりしない?
A はい。
Q コンビニにフリーWi-Fi(注=碇被告はスマートフォンの通信料金を払えず、近くのコンビニまで行ってLINE(ライン)を使い、赤堀被告とやりとりしていた)で赤堀被告に、翔士郎ちゃんの症状を伝えている。
A 頭…。(黙り込む)
Q 出てこない?
A はい。
■三男に手を出して倒したこともあった
Q 午後6時33分に(碇被告がLINEを)送って赤堀被告から「倒れたん」と返信が来ている。あなたは「グズグズ、また変」「演技やろうけど、頭をゴツゴツぶつけてさ」と送っている。どういう状況だったのか。
A 歩いている途中に頭を壁にぶつけました。立っているんですけど、前かがみになって、ゴツンとなりました。
Q 頭を床にぶつけている。
A 床ですね。
Q 上から床に前のめりに倒れたということか。
A そうです。
Q 「レイナちゃん。頭にきたけん(翔士郎を)和室に投げたんよ」と送っている。
A 翔が歩かなかったので赤堀被告との約束を破るとごはんを抜かれると思って、そう翔に伝えました。
Q レイナというのは。
A 翔が赤堀被告をレイナちゃんと呼んでました。
Q 翔士郎ちゃんを投げたのか。
A 投げつけていないです。リビングから和室に連れて行ったら、マットレスに倒れました。
Q あなたが手を出して倒したことは。
A ありました。
Q そこまでやる必要があるのか。
A ボスが見ているのでグズグズしているとごはん抜きにされたくなかったので、ちゃんとしているのを示すための行為でした。
Q 力加減は。
A 痩せているのも分かっていたから、ポンっと押したら翔がマットレスに倒れてたんです。
Q 演技で済ませられなかったの。
A 演技はできません。

■前かがみに倒れて…「翔、翔」って声をかけた
Q 午後6時43分に、コンビニから家に戻って翔士郎ちゃんはどうなってた。
A (涙をハンカチで拭う)
Q どこに翔士郎ちゃんはいましたか。
A リビングにいました。丸まっていました。
Q 両腕を顔の前でガードした状態ということだね。ボクサーみたいに。
A 正座して前かがみに倒れてました。
Q あなたはその時どうしたの。...
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