無料の北九州カードを2000円で「転売」 市が600枚配布、翌日にはネット出品

 北九州市が地方創生の一環で製作し、市民らに無料で配布したポストカードがインターネットで売買されている。中高生に人気の芸能人が載っており、中には1枚2千円超の価格で売られているものも。過熱する転売ブームの一端と言えるが、製作には税金が投入されている。識者らは「転売は本来の公益目的をゆがめる」「モラルの問題」などと指摘。自治体に防ぐ手だてはないのか-。

 「限定のポストカードです。貰(もら)ってすぐ真っ直ぐにバッグに入れて保管しておりました」

 スマートフォンフリーマーケットアプリメルカリ」に今月、同市の観光大使を務める人気ダンス&ボーカルグループ「ザ・ランペイジ・フロム・エグザイル・トライブ」の藤原樹さんの写真入り限定ポストカードが20枚近く、800~2千円台で売買されている。

 カードは、市が昨年策定したスローガン「New U」をPRするために製作。若者向けに「あたらしいことを、はじめやすい都市」をアピールしており、同市出身の藤原さんをモデルに起用。5月28、29日にJR小倉駅で計600枚、無料で配布した。スタッフが「New U」の公式インスタグラムをフォローしたのを確認して1人1枚ずつ配ったが、氏名などは聞かなかった。2日間とも飛ぶようにカードはなくなったという。

 そして、早くも29日には売買が始まっていたとみられる。中には「クリアファイルにて保管しております」など転売目的で入手したと思われる書き込みもあり、市の担当者は「現場で1人ずつ転売の意思を確認するなどできない。転売や、転売品の購入はしないでほしいが、どうすれば防げるのか…」と頭を抱える。

 税金を使い、芸能人やアニメをPRに活用した印刷物が転売されたケースは後を絶たない。

 宮崎市では2018年、人気デュオ「コブクロ」を広報誌で特集したところ、フリーマーケットアプリに200冊近く出品され、数百~2千円で売買された。20年にアニメ「ラブライブ! サンシャイン!!」を裏表紙に掲載した静岡県沼津市の広報誌も相次いで転売された。

 転売は、不正転売禁止法で禁じている興行チケットや、各サイトが取り扱いを禁じる偽ブランド品などを除いて原則自由だ。

 北九州市立大の南博教授(都市政策)は「これらの転売はこれまでも問題視されてきたが、タレントを起用したグッズは宣伝効果も大きく、自治体としては悩ましい」と語る。

 ただ、税金を投じたグッズが第三者の利益になるのは釈然としない。それが当初から転売目的だとすればなおさらだ。

 著作権や転売問題に詳しい福井健策弁護士(東京)は、自治体が転売を禁じていると知った上で入手したものを勝手に売買すれば、詐欺罪に問われる可能性があるとし、「事前に転売禁止と明示することが重要だ」と強調する。

 今回の北九州市のケースはそもそも転売禁止をうたっておらず、法的措置は難しいという。「即効性があるのは『転売禁止』を呼びかけながら配ること」と福井弁護士。「行政がどう捉えるか次第だが、転売は『行政の適正な行為をゆがめる』として、アプリ側に出品禁止を申告する手法もある」としている。

 (岩谷瞬、白波宏野)

関連記事

福岡県の天気予報

PR

PR