支持率に響く暮らしの争点「官邸は相当ナイーブ」…野党攻める物価高、円安

 参院選公示を前に与野党9党の党首が激しく火花を散らした21日の討論会。立憲民主党の泉健太代表ら野党は、ウクライナ危機を受けた資源高騰や急速な円安による物価高を主な論点とし、「失政による岸田インフレ」と強調。一方、岸田文雄首相(自民党総裁)は対策の成果を淡々と述べて批判をかわし、立民の安全保障政策を批判するなどして応酬した。 

 相手を指名して見解をただせる討論会の第1部は、物価高対策や金融政策に関する質問に集中した。

 口火を切ったのは泉氏だった。「物価高の原因は原油高、そして円安。原油高を止めるのは難しいが、円安を放置するのかどうかが問われている。政府も日銀も円安放置だ」と語気を強めた。日銀の大規模金融緩和策維持による日米金利差の拡大が円安加速の原因として、経済政策「アベノミクス」からの転換を求めた。

 先が見えない物価高への不安の高まりから、報道各社の直近の世論調査で政権支持率は下がっており、「官邸は相当ナイーブになっている」(政府関係者)。

 攻めどころとみた野党は「アベノミクスで膨らんだ内部留保に課税し、賃上げにつなげるべきだ」(共産党の志位和夫委員長)、「悪い物価上昇にどう対応するのか。やってる感はいらない」(れいわ新選組の山本太郎代表)など集中砲火を浴びせた。

 これに対し、「金融政策は総合的に判断しなければならない」「(ガソリンは)1リットル210円になるところを170円程度まで抑えられている」など淡々とかわした首相。質問の順番が回ってきても攻めに転じず、参院選後の与党入りのうわさも出ている国民民主党の玉木雄一郎代表に金融政策を問い、「(政府は)緩和策を継続すべきだ。総理はもっと頑張っていただきたい」と援護射撃を引き出す“連携プレー”も見せた。

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 国民の関心が高まる安全保障や憲法についても、議論が白熱した。

 防衛費を国内総生産(GDP)比で2%以上も念頭に増額するとした自民党の公約について、志位氏は「2%は5兆円以上の増額。財源はどうするのか」と追及。社民党福島瑞穂党首も「(2%増額すれば)世界第3位の軍事大国になる。憲法9条を変えて、他の国と何が違うようになるのか」と続いた。首相の答えは「政府として数字ありきということは一度も申し上げていない」「専守防衛などの議論は全く変わらない」。

 首相が感情をのぞかせたのは、公約で「着実な安全保障」をうたう立民の矛盾点を突いた時だった。

 政策提案型の政党を目指す立民は、抑止力・対処力強化や防衛力整備を掲げる一方、政策集には2015年成立の安全保障法制について「違憲部分は廃止」すると明記した。首相は「私は外務大臣として国会で216時間、野党の質問に耐え続けた。強い思い入れがあり、合憲と思っている。どこが違憲で、もし廃止するとして日本の安全保障上、不都合は生じないのか」と問うた。

 泉氏は「集団的自衛権に一部、道が開かれたことは憲法上、疑義が残る。違憲部分の解消を目指す一方で米国と話し合いを続け、憲法にも法律にも適した安全保障環境と両立できるものを目指したい」と語った。

 (久知邦、前田倫之)

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