参院選福岡選挙区、立候補者16人アンケート㊤
7月10日投開票の参院選福岡選挙区(改選数3)に立候補した16人に対し、西日本新聞は政策や考え方をアンケートで尋ねた。3回に分けて紹介する。
<質問項目>
(1)防衛費 岸田首相は防衛費の「相当な増額を確保する決意」を表明。本年度予算は過去最大の5兆4005億円を計上した。増額に賛成=○、反対=×、どちらでもない=△と理由を。
(2)非核三原則 米国の核を国内に配備する「核共有」の議論が一部で高まる。日本が国是とする非核三原則について、維持すべきだ=○、変更してもよい=×、どちらでもない=△と理由を。
古賀 之士氏(立民現職)
(1)〇
防衛力の強化は必要ですが、総額ありきの議論に合理性・現実性はありません。不足する人員や備品など自衛隊の体制整備に加え、サイバーなど新領域やミサイル防衛の強化などへの重点配分により質の充実を目指します。
(2)〇
唯一の戦争被爆国として、核廃絶を訴えてきた日本として、非核三原則は今後も堅持すべきです。非現実的な核シェアリングではなく、日米拡大抑止協議を格上げし、核の抑止力や運用についてアメリカと話し合います。
先崎 玲氏(諸派新人)
(1)〇
ウクライナ、ロシアの現状を見、中国、北朝鮮のミサイル発射を考えても、防衛費をGDP比で3%程度にするのは当たり前だ。必要があればさらに増額。中国などにやられていいのか。中国は必ず沖縄、九州まで来る。
(2)×
「変更してもよい」というより「変更すべきだ」と考える。ロシア、中国、北朝鮮と、日本の周り3か国はみんな核を持っており、日本に向けている。世界で日本ほど安全保障環境が厳しい国はない。
熊丸 英治氏(N党新人)
(1)〇
日本は、広い領海を抱え国境問題がある。海上保安庁のみのパトロールでは力不足だ。また、海上自衛隊も十分な部隊と装備を持っているとは言い難い。軍事国家が隣国に存在することを考えると、防衛力強化が望ましい。
(2)×
非核三原則は、時代に合わない。どれも考え直して、特に、核シェアリングを積極的に進め、日本を攻める外国の部隊がその核を恐れ、侵攻をやめさせることにもつながるので、三原則を現状に合わせて改定していきたい。
福本 貴紀氏(社民新人)
(1)×
防衛費の増額には反対である。政府は防衛費の増額は5兆円とも言っている。その金額は教育費や福祉に充てれば、国民の暮らしに役立つものである。
(2)〇
唯一の戦争被爆国として、論外である。日本こそ反核運動の中心となり、全ての国における核兵器の廃絶を今こそ訴えるべきである。
秋野 公造氏(公明現職)
(1)〇
他国の意図と能力を見極め、抑止力向上に必要な組織定員装備は予算の増額で対応すべきだ。日米同盟を強化し、国際社会と協調しながら核兵器のリスクを減らして、抑止力をどう構成するか日本は議論を主導すべきだ。
(2)〇
伯父を長崎原爆で亡くし、原爆の研究所で博士号を取得した。核共有で日本の安全保障上のリスクが下がるのか、抑止力が高まるのか。むしろ核を拡散させリスクを高める。不安に乗じた議論はわが国を危うくする。
大田 京子氏(国民新人)
(1)〇
「戦争を始めさせない抑止力」を高め「自衛のための打撃力」を整備するために賛成です。米国からの兵器調達だけではなく、軍事技術力の向上に合わせて、新たな領域に対応できる専守防衛に徹した見直しが必要です。
(2)△
唯一の戦争被爆国として核廃絶という大きな目標を掲げてやっていくべきです。一方で、どのようにしたら憲法が掲げる平和主義と反せずに核抑止が機能するのか、現実的な議論を積み重ねていくことが大事です。
対馬 一誠氏(無所属新人)
(1)〇
日本は戦後アメリカとの条約が一番大切だと思います。戦争をしない日本にとって防衛としてはアメリカに頼るしかない。
(2)〇
戦後77年になるが、もう戦争は起こらないと思っていたが、今回のロシアとウクライナとの戦争が起こり、驚いています。何が起こるかわからないので、アメリカ頼りの国政ではなく我が国で防衛をしていくべきだ。
組坂 善昭氏(諸派新人)
(1)△
危機感をあおって増額するのは良くない。当初予算で過去最大であったものを「相当な増額を確保する」必要があるとは思わない。しかしながら、防衛費の増額に反対するものではない。
(2)△
核がないと言えば戦争抑止力を失うし、核があると言えば国民から非難される。日本が米国の戦艦を臨検する立場にないので、同盟国としての立場を維持する。
奥田芙美代氏(れいわ新人)
(1)×
人への投資こそ国力をあげる真っ当な国家予算の組み立てだと思う。例えば、教育費倍増、年金倍増、医療保険や住民税など大幅減額が必要であり、現金給付が必要です。
(2)〇
核保有によって平和は訪れない。いつも武器商人によって戦争は作られるからです。核を保有することで利益を得る武器商人が戦争を作っているからです。核を保有することで国民の命は決して守れません。
龍野真由美氏(維新新人)
(1)〇
国連安保理による平和維持体制は崩壊した。日本が他国からの侵略されないための対策が必要だ。これまでの防衛費枠は見直し、国民の皆さんが抱えている安全保障に対する不安を解消する。
(2)×
非核三原則については、核共有を含めた米国との核拡大抑止議論を直ちに始めるべきだと考える。国是を変更するので、国会で、徹底した深い議論を通じて、国民が納得する結論を出すべきだ。
野中しんすけ氏(諸派新人)
(1)△
日本人が独自で国防をするためであれば防衛費に予算確保することに賛成です。アメリカが日本のために積極的な国防をしてくれるとは考えられず現在のようにアメリカ頼みの国防に5兆円以上も計上されるのは反対。
(2)△
核に関しては早急に議論する必要があると考えています。日本は中国・ロシアなど核保有国が隣にあります。国を守っていくためにも核の保有は重要な課題ですし議論の結果によっては変更を考えることも重要。
真島 省三氏(共産新人)
(1)×
いまでも当初予算で世界9位、後年度負担を含めると年11兆円で世界3位。GDP2%にすれば、当初予算で世界3位に。軍拡競争に拍車をかけ、戦争の危険を高める。また、消費税増税や社会保障予算削減につながる。
(2)〇
核先制使用もためらわない指導者が登場し、「核抑止」論は完全に破たんしている。核戦争を防ぐ道は、唯一の戦争被爆国日本が、「非核三原則」を堅持し、核兵器禁止条約に参加し、「核兵器のない世界」をつくること。
大家 敏志氏(自民現職)
(1)〇
財政の持続可能性には留意しつつも、ロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮による核、ミサイルの脅威、中国の軍事力拡大と激変する安全保障環境に対し、我が国の防衛力を強化し、抑止力を高める必要がある。
(2)〇
非核三原則は堅持する。NATO型の核共有は難しいと考えるが、緊急事態における核の持ち込みと非核三原則についての考え方は、従来の政府の立場(2010年当時の岡田克也外務大臣答弁)を踏襲していく。
江夏 正敏氏(諸派新人)
(1)〇
岸田政権によるロシアへの一方的な制裁措置により、日本は中国、北朝鮮、ロシアの3正面作戦を余儀なくされています。この国を守りきる体制の整備に向けて、日本は国防費をできるだけ早く倍増すべきです。
(2)×
岸田首相の述べる「核のない世界」ではなく「核を落とされない世界」を実現するためには、「核を持ち込ませず」など非核三原則を見直し、自前の核装備も視野に核抑止力を万全のものとしなければなりません。
和田 昌子氏(N党新人)
(1)×
未来のある子供たちの戦争反対のため。
(2)〇
現状でも日本は米国の「核の傘」に守られており、これ以上踏み込んだ対応をとる必要はない。
真島加央理氏(N党新人)
(1)×
今、コロナで不況になり、物価高もあり、生活困窮者もでている。防衛費増額よりもまず経済対策に振り向ける必要がある。
(2)〇
ロシア侵攻を口実に核共有の議論は踏み込みすぎだ。今やるべきことは、ウクライナ問題を解決することで、核を配備して戦争につなげることではない。
政党の略称 自民=自民党、立民=立憲民主党、公明=公明党、維新=日本維新の会、共産=共産党、国民=国民民主党、れいわ=れいわ新選組、社民=社民党、N党=NHK党