韓国世論「独自に核開発」7割 台湾でも高まる核保有論、それぞれが掲げる論理

 核を保有していれば攻撃されない-。ウクライナ侵攻を続けるロシアの核使用や北朝鮮による核実験再開の懸念が高まる今、世界では核廃絶の理想どころか、「仮想敵」に対する危機感と核抑止論が連鎖的に強まっている。

 米紙ニューヨーク・タイムズは4月、独自の調査結果を基に韓国内で核保有論が高まっていると報道。ロシアのウクライナ侵攻に触れ「侵攻を米国が防げないのを見て、韓国人に米国は北朝鮮も抑止できないのではないかという疑問を抱かせた」と指摘した。

 実際、民間シンクタンクの峨山政策研究院が3月に行った調査でも、韓国独自の核開発を支持する回答が70・2%に達し、最低だった2018年の54・8%から上昇。1990年代に撤去された在韓米軍の戦術核再配備も59%が賛成した。調査は北朝鮮が国連安保理決議に反する弾道ミサイル発射を続け、核実験の兆候が見られた時期と重なる。

 韓国世論は元来、核保有を支持する声が多い。政府の統一研究院の21年末調査では独自の核保有に賛成する回答が71・3%を占め、19年4月から10ポイント超上昇。世論硬化の背景として興味深いのは中国への警戒感の高まりだ。中国、ロシア、北朝鮮、日本のうち「韓国の安全保障に最も脅威」として中国を選んだのは71・8%に上った。

 中国は16年に韓国が米国の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を容認したことに反発し、韓国に報復措置を取り経済に打撃を与えた。統一研究院は「北朝鮮の核のほか、周辺強大国から主権と生存権を確保する手段としても核保有が必要と考えている」とみる。

 核抑止論の高まりは台湾でも見られる。現地英字紙タイペイ・タイムズは3月、社説で「もしウクライナが核兵器の一部でも保有していたら侵攻を防げたかもしれない」と指摘。中国に台湾侵攻を思いとどまらせるための「抑止力向上の選択肢」として、米国の核の傘に入ることや独自の核開発にまで言及し、話題を呼んだ。

 これまで韓国や台湾、日本での核保有論の高まりを国際秩序や同盟の維持を盾に抑えてきた米国。バイデン政権はオバマ政権が提唱した「核兵器なき世界」の理念を継承しようとしたが、情勢の緊迫化で後退。中国や他の保有国もそれぞれの論理で核抑止の維持・強化を正当化しようとしている。

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