住人「いつもヒヤヒヤ…」歩車分離交差点に潜む危険 難しいルール徹底

 右左折する車両が歩行者を巻き込まないように、歩行者と車両の横断タイミングが分かれている「歩車分離式」交差点。だが、「いまにも自転車が車や歩行者とぶつかりそう」という不安の声が、福岡市の40代女性から西日本新聞「あなたの特命取材班」に寄せられた。昨年6月28日に千葉県八街(やちまた)市で児童5人がはねられ死傷した事故を受けて、福岡市が実施した通学路の安全点検でも、この交差点は「要対策箇所」に挙げられていた。本来なら安全性が高いはずの交差点に危険が潜む背景を探った。 (竹中謙輔、児玉珠希)

住人「いつもヒヤヒヤ」

 現場は福岡市南区桧原の「桧原四ツ角」。二つの県道が交わり、近くに西鉄バスの営業所もある交差点で交通量は比較的多い。

 歩車分離式だが、徹底されていないのが自転車。車と同時に走ったり、歩行者と同じタイミングで渡ったり。近くに住んでいるという投稿者の女性は「ドライバーは自転車の不規則な動きに困っているみたい。いつもヒヤヒヤしながら見ている」。記者が横断するときにも自転車がさしかかり、接触しそうになった。

 交差点は西花畑小の通学路。朝、児童の登校を見守っているPTAの女性(39)は「歩行者の中を自転車で走る人もいて驚く。通学する息子も『車より自転車の方が怖い』と言っている」と話した。

 県警交通規制課は「自転車は軽車両。やむを得ない場合を除き、車道を走ることが原則」と説明する。つまり歩車分離の交差点で、自転車が歩行者信号に従うのは間違いだという。

車の側にも課題が

 交差点では朝夕、博多工業高(福岡市城南区)の生徒たちが自転車の列をなして走る。ただ、大半の生徒は交通ルールを守って車道を走り、車用の信号に従って交差点を通過していた。

 生徒たちによると、学校から車道を走るように指導を受けているという。1年の男子生徒(16)は「車道を走っていると車からクラクションを鳴らされることもあり怖い。ルールを把握していないのはむしろ車の方では」と困惑する。

 交差点近くの県道は片側1車線で、自転車専用レーンはない。狭い路側帯の内側から全くはみ出さずに走るのは難しく、速度差がある自動車からすると自転車は“邪魔”な存在に映るのかもしれない。

バスの前を走る通学の自転車。後ろには乗用車やバイクが連なる=7日午後4時ごろ、福岡市南区桧原

福岡市は「対策完了」

 福岡市教育委員会は、八街市の事故を受けて昨年9月に通学路を緊急点検。桧原四ツ角は「自転車と子どもが同時に横断し接触する状態」として対応が必要な269カ所の一つに挙げたが、今年3月末には「対策完了」としていた。

 南区地域整備課は対応について、「道幅が狭いため路面に自転車通行の表示を出すなどの改善はすぐには難しい。学校で児童に交通安全について指導してもらった」と説明。だが取材時には桧原四ツ角で児童が交差点を斜めに横断し、渡り終える前に信号が赤になる状況も時折見られた。道交法上は、斜め横断ができるのは斜めの横断歩道がある「スクランブル交差点」などに限られている。

 県内の歩車分離式の交差点は3月末時点で390カ所。20年度に導入した8カ所では、導入前に比べて翌年度は人身事故がほぼ半減する効果もみられた。ただ県警南署によると桧原四ツ角では、2014年度の歩車分離化後にも人身事故が10件発生している。車両、自転車、歩行者が交差点のルール全体を理解しなければ、危険は消えない。

テレQ「特捜Qチーム」と連携します

 警察庁によると、歩行中の交通事故による小学生の死者と重傷者は2009年の計約千人から19年にはほぼ半減。事故件数も減少傾向が続いていますが、「あなたの特命取材班(あな特)」が昨年ウェブサイトで「危ない通学路」についてアンケートを実施したところ、90件以上の声が寄せられました。あな特が連携するテレQ(福岡市)の「特捜Qチーム」とともに取材し、安全向上を目指す記事を随時掲載します。

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