電力不足、安定供給のビジョン示せ

 電力の安定供給が危うくなっている。火力発電所の休廃止が相次ぎ、慢性的な電力不足に陥っているからだ。

 日々の生活や経済活動に欠かせない電力の安定供給は国の責務である。早急に対策を取らなければならない。

 政府は、東京電力管内の電力需給が27日に逼迫(ひっぱく)する恐れがあるとして「電力需給逼迫注意報」を出し、家庭や企業に節電を呼びかけた。注意報は29日も続く。電力の供給は綱渡りで、より厳しい「警報」の発令もあり得る。

 節電要請に及び腰だった政府の姿勢が変わったことは評価できる。既に全国の企業や家庭にも7月から9月までの節電を要請した。記録的に早い梅雨明け、猛暑は想定を上回る。私たちも体調管理を優先しつつ、無理のない範囲で節電に協力したい。

 夏場をしのいでも、この冬は電力需給が一段と厳しくなる見込みだ。政府や電力会社は電力不足の早期解消に努めてほしい。

 最も避けなければならないのは、電力の需要と供給のバランスが崩れ、広域で大規模停電が起こることだ。休止した火力の運転再開も一部あるものの、供給力を高めるには時間がかかる。当面は節電でバランスを保つしかない。

 政府は節電に協力した家庭に2千円相当のポイントを提供する方針だが、ばらまき感が強く、政策効果に疑問符が拭えない。

 火力の休廃止は再生可能エネルギーの普及によって稼働が減り、採算が悪化しているからだ。脱炭素化の流れもあり、電力会社としては妥当な経営判断なのだろう。その結果が深刻な電力不足であるなら、国が進めた電力自由化の制度設計が不十分だったのではないか。検証を求めたい。

 火力の発電能力はこの5年間で439万キロワット減った。この先10年間でさらに2千万キロワット以上減る試算もある。支障がないかを精査すべきだろう。

 電力を安定供給するための方策は参院選で論じられている。各党の主張が異なるのは原発の取り扱いだ。

 自民党は「安全が確認された原子力の最大限の活用を図る」と原発依存の姿勢を強める。新増設については「現時点では考えていない」と言葉を濁す。

 日本維新の会と国民民主党は小型モジュール炉など、次世代原発の活用を訴える。ただし次世代炉は開発途上で、安全性や経済性は未確認だ。

 綱領に原発ゼロの実現を掲げる立憲民主党の公約は「原発に依存しない社会を実現」に表現が後退した。共産党やれいわ新選組、社民党は原発ゼロを訴える。

 脱炭素と両立する電源は再生エネ、原子力、二酸化炭素(CO2)を回収する技術を取り入れた火力の三つだ。電力供給問題は安定性だけではなく、脱炭素時代を見据えて論じる必要がある。

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