発熱…コロナ?夏風邪? 流行重なり診療所パンク 重症者見落とす懸念も

 新型コロナウイルスの流行「第7波」が猛威を振るう中、発熱などで検査を希望する患者が内科や小児科などの診療所に殺到している。夏風邪の流行も重なって患者が例年の2~3倍に膨れ上がり、かかりつけの患者に限定して受け付けざるを得ないところも出てきた。幅広く患者を診る1次医療機関の診療所が逼迫(ひっぱく)すると、重症者や他の優先すべき病気が見落とされる恐れもある。長い待ち時間で体調を崩す恐れもあり、重症化の可能性が低いとされる子どもの受診には慎重な見極めが必要なようだ。 

 「熱はいつから?」「解熱剤は持ってます?」。福岡市博多区の高岸小児科医院。22日午前に診察した48人中、22人が玄関前に設けた急ごしらえの「発熱外来」に殺到、医師や看護師が対応に追われた。主な症状は発熱、喉の痛み、鼻水。「どこにも受けてもらえなかった」と、隣の東区から来た男性もいた。陽性は4割ほどで、残りはエンテロウイルスやアデノウイルスなどによる夏風邪とみられた。この季節、冷房が効いた室内と暑い室外との寒暖差でかかりやすい。

 「症状は同じで医師でも見分けがつかず、検査するしかない。ちょうど流行が重なってパンク状態だ」と高岸智也院長。コロナ禍前ならこの時期の患者は1日30人ほどだが、3連休明けの19日から100人前後に急増し、昼食が連日取れなかった。市内の複数の診療所が職員の感染で一時休診している影響もある、とみる。

 同じく発熱外来を設置した同市中央区のとみた内科クリニックでは、例年、1日60~70人だった患者が、遠方からの初診も含めて百数十人に増えた。心臓病や高血圧などの持病で定期的に通院している患者がかかりにくい状態になり、17日から発熱外来の受け付けは、かかりつけ患者に限っている。この診療所では、検査での陽性は7割ほど。富田直史院長は「重症化リスクの高い基礎疾患がある患者を優先したい」と話す。

 両院長によると、子どもは2、3日で、大人は少し長引く例もあるが1週間ほどで熱が下がって軽快する場合がほとんどという。これまでのところ、第7波で診た患者は全員が軽症。治療法は、ごく一部の高齢患者や糖尿病などの基礎疾患がある患者に抗ウイルス薬を処方する他は、解熱剤やせき止めを処方するくらい。市販薬でも対応可能で、長時間待って疲れるよりも自宅にとどまった方が望ましいケースもある。

 診療所が軽症者の対応に追われ、重症者や、他の重大な病気の見落としが懸念される。感染予防のため発熱外来では検査と問診のみとし、触診や聴診を省く診療所もある。この点、富田院長は「おなかを触って分かる虫垂炎(盲腸)など緊急処置が必要な患者も紛れてしまうかもしれない」と心配する。

 福岡県は22日、コロナに感染していた10歳未満の男児が亡くなったと発表した。県内で10歳未満の死亡は初めて。当初は軽症だったという。

 福岡地区小児科勤務医会は重症化につながりかねない10の症状を示したパンフレットを作成し、注意を呼びかける。高岸院長は「子どもは多少熱が出ていても『食う寝る遊ぶ』が元気にできているうちは大丈夫」としながらも、「これらの症状があれば、すぐに受診してほしい」としている。

 (下崎千加)

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