「首相は統一教会に神経とがらせている」内閣改造、異例の前倒しの理由

 臨時国会は5日、山積する政治課題への審議がないまま閉会し、与野党の攻防は今月内にも始まる閉会中審査へと持ち越された。宗教団体「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)を巡る問題や、賛否が割れる安倍晋三元首相の国葬などを火種に抱える岸田文雄首相は、内閣改造・自民党役員人事を10日にも行う意向で態勢固めを急ぐ。攻撃材料を手にした野党は巻き返しに向けて徹底抗戦の構えを強めている。

 臨時国会の会期は3日間で、正副議長の選出など形式的な手続きにとどまった。野党は開会前、国葬などを審議する十分な会期を求めたが、自民が拒み、閉会中審査の開催を条件にようやく折り合った。

 ただ、与党は充実した審議に及び腰だ。コロナ対策や国葬は審議する方向だが、自民党議員との関わりが次々と明るみに出る旧統一教会の問題は「実施するかは分からない」(自民国対幹部)。各委員会でどの程度の審議日程が確保されるかも不透明で、立憲民主党の小川淳也政調会長は「きちんとした審議時間を設けるか甚だ眉唾な気持ちだ」とけん制した。

 これまで手堅い政権運営を続けてきた岸田内閣だが、猛威を振るう新型コロナウイルスの「第7波」に加え、国葬や旧統一教会の問題が逆風となり最近の内閣支持率は下落傾向だ。7月末の共同通信の世論調査では51・0%となり約3週間前から12・2ポイント急落。内閣発足以来最低を記録した。

 国葬は疑問視する人がじわじわと増え、世論調査では5割超が「反対」か「どちらかといえば反対」と回答。旧統一教会を巡っては、霊感商法などで社会問題を起こした団体との関係に世論の反発は強く、「首相は特に教団の問題に神経をとがらせている」(政府関係者)という。

 自民が「議員個人の問題」として実態解明に後ろ向きなことにも批判が集まっており、連立政権を組む公明党からも「自民は組織としての自浄能力がない。このままでは問題を引きずり続ける」(中堅議員)との不満が上がるほどだ。

 この局面で飛び出した電光石火の内閣改造について、自民重鎮は「早く(内閣を)改造しないとさらに落ちていた」と指摘。人事刷新による政権浮揚を狙う首相の戦略を推し量った。

 一方で、追及材料を得た野党は反転攻勢へ勢いづく。

 立民や共産党などは5日、旧統一教会と政府、与党との関係を追及する合同ヒアリングを国会内で開催。立民の馬淵澄夫国対委員長は「統一教会問題は国民運動として取り上げるべきだ。国会でただしていかなければいけない」と強調した。(御厨尚陽、井崎圭)

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岸田文雄首相は、9月上旬とみられていた大方の予想を覆し、10日にも内閣改造と自民党役員人事に踏み切る。大幅な前倒しは、自民党議員との接点が次々と表面化する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題などで逆風が強まる中、「先手」を打って・・・

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