暴排関係者「裏切りだ」 付き合い重ね取り込まれ 警官情報漏えい

 5日、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で再逮捕された福岡県警田川署の巡査長田中恭平容疑者(34)。捜査関係者によると、ギャンブル好きで、知人の会社役員の男性(61)=同法違反(唆し)罪で略式命令=から借金し、男性から引き合わされた指定暴力団合田一家系組長の金正守容疑者(41)にも、職務上知り得た情報を漏えいするようになったという。県警は三大重点目標に「暴力団の壊滅」を掲げており、暴力団排除活動を進めてきた市民は「裏切り行為だ」と憤った。

 「こいつに聞けば、何でも教えてくれる」

 会社役員の男性は、田中容疑者のことをこう周囲に吹聴していた。2018年3月ごろ、博多署勤務時に知り合った田中容疑者は、男性が住む山口県下関市にたびたび足を運び、金銭を受け取ったり、飲食接待を受けたりしていたとみられる。

 男性が橋渡しした金容疑者と田中容疑者の関係について、県警は「現時点では、飲食接待や金銭の授受はない」と説明する。ただ、金容疑者が暴力団構成員と知りながら交際を続けた理由や、金容疑者に渡った個人情報がどのように使われたかは、「捜査中」を理由に明らかにしていない。

 14年に着手した特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)の壊滅作戦を筆頭に、これまで官民を挙げて暴排に取り組んできた県警。一方で、約20年前には、捜査情報の見返りに県内の指定暴力団トップから現金を受け取っていた警察官が汚職事件で摘発され、信頼が大きく揺らいだ。12年にも、工藤会の親交者から同様に現金をもらっていた警察官が逮捕されるなど、暴力団との癒着が繰り返し明らかになってきた経緯がある。

 今回、再び浮上した「黒い関係」に、北九州市で長らく暴排に携わる男性(75)は「警察官への信頼がなくなってしまう。われわれボランティアのパトロール隊も命懸けなのに、最前線で県民を守るはずの警察官が暴力団と付き合っていたというのは、大変残念だ」。

 「市民に顔向けできない。批判されても反論のしようがない」と暴力団捜査を担当する県警幹部。5日、県警の松岡法之首席監察官は「誠に遺憾であり、県民の皆さまに心より深くおわび申し上げます」とコメントした。

(小川勝也、上田泰成)

福岡県の天気予報

PR

PR