管理職の4割が女性 出生率2.00まで回復 フランス女性の地位は? 研究者2人、実情を紹介 福岡市でフォーラム

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 ●進む「子育ての社会化」 それでも「見えない壁」
 
 管理職に占める女性の割合が4割に上る一方、少子化から抜け出しつつあるフランス。今月1日には研究者2人が福岡市を訪れ、フォーラムで「両立」が進む母国の実情を紹介した。管理職わずか1割、少子化にも歯止めをかけられない日本の参考になることは…。会場に足を運んでみた。

 フランス政府の文化機関「アンスティチュ・フランセ日本」などの主催。「労働市場における女性の地位とは?」をテーマに、日仏5人の専門家らがパネリストとして登壇した。

 この中で歴史人口学者のエマニュエル・トッドさんは、両立の背景にある社会の意識について「子どもには早いうちに独立する可能性があり、親が面倒をずっと見て私物化する感覚になるのは良くないとの考えがある」と解説した。

 こうした共通認識の下、「子育ての社会化」が進められ、保育制度や給付金など公的支援が充実。出産・結婚で労働人口が落ち込む「M字カーブ」が解消され、合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子の推定人数)は2012年で2・00まで回復した。トッドさんは「フランスの女性は自由が尊重されている」と胸を張る。

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 課題も残る。パリ・ドーフィーヌ大教授のドミニク・メダさんは、その一つに「ガラスの天井」を挙げた。

 女性の労働環境が改善したとはいえ、就労率は男性より10ポイント低く、産後にパートタイムに変わる人が多いため給料は7割程度。「子どもに対して常に責任を負うのは女性」との固定観念が根強く、それもあって昇進を妨げる見えない「ガラスの天井」があるという。

 女性間の格差も問題視。0~3歳を預かる保育所には10%しか入れず、アフリカ系移民に預けて働き続けられるのは高学歴の女性に偏る。メダさんは「保育所の整備やフルタイム就労の時間短縮などが必要」とさらなる改善を求めていた。

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 先行するフランスでさえ課題を抱える中、日本はどうすべきか。

 日本人パネリストからは「極端な男性社会を変えないといけない」(前福岡県知事の麻生渡さん)「世界一高齢化しても性別分業を固定化したままでは変化に対応できない」(京都大教授の落合恵美子さん)「産み育てられる社会でなければ、労働人口は足りなくなる。良き社会は幸せな家族から形成されるという視点を忘れたくない」(DLC・GBコンサルティング社長の青木麗子さん)-などの意見が出た。

 日本で男女共同参画社会基本法が施行されて15年。依然として男性優位社会から抜け出せない実情を見るにつけ、トッドさんが語った「フランス人男性は、女性の独立を脅威と感じていない」という言葉が最も印象に残った。


=2014/07/12付 西日本新聞朝刊=

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