【自由帳】算数のつまずき なぜ?

算数好きを増やそうと安徳北小学校で開かれた「算数オリンピック」。児童たちは3人一組でクイズ形式の問題に挑んだ 拡大

算数好きを増やそうと安徳北小学校で開かれた「算数オリンピック」。児童たちは3人一組でクイズ形式の問題に挑んだ

 ちょっとしたつまずきから、学力格差は広がっていく。その代表的な教科が算数。子どもたちはどんな問題でつまずくのか。

 福岡県那珂川町の安徳北小学校で先日、「算数オリンピック」が開催された。昼休みの30分間を活用した算数クイズ大会。3・4年生と5・6年生に分かれ、同学年3人のチームをつくり、3問の正答率を競う。自由参加方式で、中高学年とも約3分の1の児童が参加した。

 3・4年生の多くがつまずいたのが問題(1)。答えを示されると、なーんだという問題なのだが、大人の私もすぐには解けなかった。誤答で目立ったのは「5リットルから1リットルを引けばいい」。では、1リットルはどう測るの? 解決のポイントは、足し算ではなく引き算、余りへの着目なのだが、そもそも問答が成立していない。子どもたちは、何が分からないのだろうか。

 ☆ ☆

 指導に当たった平田敏弘教諭(44)には思い当たる節があった。3年生の算数の教科書に出てくる問題。

 〈子どもが23人います。4人乗りのボートに分かれて乗ります。みんなが乗るには、ボートが何そうあればいいですか〉

 割り算の余りを考える問題なのだが、半数は「5そう」と答えるそうだ。「どうして? それじゃ、3人乗れないよ」「詰めて乗ればいいじゃん」

 うーん、余りをどこかに丸め込み、なかったことにしようとする発想なのか。世の中には、単純に善悪や均等で割り切れない現実がある。それをあいまいにしたり、消去してしまったりするのはどうなんだろう。

 「23÷4=5余り3」という計算式は、大半の子どもたちが理解している。だが、実生活に当てはめた問題にした途端、正答率は急落する。

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 5・6年生の部門では、問題(2)でつまずきが目立った。誤答の多くが「48×2=96秒」。到達した階数と、上った階数の違いが見えていないのだ。正答したグループは、ビルの図などを書いて解いており、平田教諭は「子どもたちはすぐに式と答えを求めたがる。まず場面を想定してもらいたいのだが…」。

 問題に取り組む子どもたちの姿も興味深かった。3人で知恵やアイデアを出し合い、1問ずつ順に答えを導くものだと思っていた。ところが、多くのグループが問題を割り振り、分業で取り組んでいた。これでは、3本の矢のチーム力が生きないのに。

 算数をなぜ学ぶのか、算数を暮らしにどう役立てたらいいのか。子どもたちは、その入り口でさまよっているようだった。学びの「前提条件」とでもいうのだろうか。

 算数嫌いが生じる分岐点とされる小学校中高学年。子どもたちの学びのスイッチはどこにあるのか。それは先生たちにとっても、かなりの難問であるようだった。

 ●算数オリンピックで誤答が多かった問題

【問題(1)】5リットルと3リットルの水が入る、からっぽの容器があります。この二つの容器を使って、水道水から5リットル容器の中に、ぴったり4リットルの水を入れるには、どのような順番で水を入れたらいいでしょうか。

《解答》5リットルの水を3リットル容器に入れると2リットル残る。3リットル容器を空にして2リットル入れる。空になった5リットル容器を満杯にし、3リットル容器に1リットルを入れると、残り4リットル。

      ×      ×

【問題(2)】10階建てビルの8階にある友達の家に遊びに行こうとしたら、エレベーターが故障していました。階段を1階から4階まで上ると48秒かかりました。8階まで上るには何秒かかりますか。

《解答》112秒


=2014/08/05付 西日本新聞朝刊=

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