男性の不妊 知って 歌手ダイアモンド☆ユカイさん 体験語る 「恥ずかしがらず検査を」

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 不妊の原因の約半数は男性側にあるにもかかわらず、「男性不妊」はまだまだ広く認知されていない。無精子症で、治療の末に3児を授かったロック歌手ダイアモンド☆ユカイさん(52)が、主治医を務めた北九州市のセントマザー産婦人科医院の田中温(あつし)院長とともに、1日に東京都内で開かれた日本受精着床学会総会・学術講演会の市民公開講座に出席し、その体験を語った。

 「医師に『精子ゼロです』と言われて。2、3日口がきけないくらい、ショックでした。男としてすべてを否定されたような」

 ユカイさんは2009年に一般女性と再婚。妻の付き添いのつもりで行ったクリニックで検査を受け、無精子症と診断を受けた当時をこう振り返った。

 精液の中に精子が認められない無精子症は、100人に1人とされる。インターネットで調べるうちに、子どもを授かる可能性があると知り、治療を決意。睾丸(こうがん)を切開して精子を採取することや痛みを伴うなどの体験を読んで、「死刑宣告されるような気持ち」で手術に臨んだという。

 「実際は、なんてことはなかった。俺は一日で済んだけど、妻は(採卵前に)ホルモン注射とかあって女性の方が大変だと思った」。そのとき、2度の体外受精に挑戦したが、着床しなかった。

 ユカイさんは「肉体的、精神的、金銭的に負担が大きく、三重苦でした。夫婦関係もぎくしゃくして、離婚寸前までいった」と明かした。その後、子どもがいない人生を考えようと、何度も話し合いを重ねたという。関係が落ち着き、旅行したりするうちに、妻から「もう一度挑戦したい」と言われ、旅行気分でセントマザー医院を訪ねた。

 治療の結果、3児を授かることができたユカイさん。「不妊治療中はそれしか見えなくなる。だめでも夫婦は夫婦だし、いろんな道をお互いに話し合い、リラックスした状態で臨めたのが結果的によかったのじゃないか」と語った。

 無精子症には、精子は正常に作られるが精子の通り道の精管がふさがっている「閉塞(へいそく)性」と、精子が作られない「非閉塞性」がある。田中院長は「ユカイさんのような閉塞性の場合は、妊娠率は非常に高いのであきらめないでほしい」と話した。

 男性不妊の場合、どのようにして伝えるかも大切だ。田中院長は「妻から伝えるのは非常に難しい。やはり一緒に病院に来た方がいい」と助言。また、不妊治療全般について「信頼できる主治医を見つけ、適切な診断でふさわしい治療をすることが重要」と指摘。女性にはまず基礎体温を付け、自分の体への関心を高めるよう呼び掛けた。

 治療に臨んでいる人に対しては「今の時間を有効に使って趣味など、1人で楽しめるものをぜひやってほしい。たとえ子どもができなくても、何かが残る」とアドバイスした。

 晩婚化により初産の平均年齢が上がり、「妊活」の時間は短くなってきている。ユカイさんは「男性不妊を知らない人はまだたくさんいる。自分がそうと気づかずに、妊活しているケースもあるかも。後悔しないためにも、男性も恥ずかしがらずに検査を受けて」と締めくくった。


=2014/08/09付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ