官民一体型学校が授業公開 モデル校の佐賀・武内小 野外でクイズ、体使って計測 五感や知識活用に工夫

校内12カ所のクローズアップ写真からその場所を探す学習。見つけると、児童たちはタブレットを使って撮影していった 拡大

校内12カ所のクローズアップ写真からその場所を探す学習。見つけると、児童たちはタブレットを使って撮影していった

 学校と民間学習塾が連携指導する「官民一体型学校」とは、どんな姿になるのだろうか。来春からの制度導入に向け、佐賀県武雄市は8月末、導入モデル校・市立武内小学校(児童数118人)で、野外活動を生かした塾式授業「青空教室」を実践、公開した。

 指導に当たったのは学習塾「花まる学習会」(さいたま市)。児童たちは、6学年でつくる約10人の異年齢混成グループを編成。塾のスタッフが出すクイズ形式の問題に挑んだ。

 第1問は、校内12カ所のクローズアップ写真が掲載されたプリントから、どの場所のものかを探す問題。写真は、鉄棒のつなぎ目、百葉箱の鍵、飼育小屋の看板など。児童たちは、校内を散策しながら、次々と探し出した。

 一枚の写真には多くの情報が含まれる。例えば、「ねん」と記された立て札を探す問題。学級花壇の立て札では、1年生の花壇だけに平仮名が使われている。その意味と理由の気づきが正答につながる。単なるゲームのように見えて、実は情報を読み解く、練習問題になっているのだ。

 視察に訪れていたある中学校長は「野外での総合学習と言えば、みんなで調べて、発表して終わり、というパターンが目立つ。だが、五感や知識を総動員して問題解決に当たるという点で、この取り組みには確かにワクワク感がある」。

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 続いてあったのが「体で測ろう」。「50メートルを15秒で走ってみよう」「5メートルってどれくらい」などだった。算数でつまずく子どもたちの多くが、数字の実感、量感が乏しいとされ、実際に体を動かしながら、体感する狙いがある。

 5メートル測定では、両手を広げたり、歩幅で類推したり、靴のサイズを物差しにしたグループもあった。とりわけ、目に見えない「速さ」は、子どもたちにとって難しく、50メートル走は競走の駆けっこになった。

 児童たちの様子を見ていると、異年齢の学び合い、共同作業になっているかといえば、必ずしもそうではなかった。

 高学年が考え、低学年が何となく同調していたり、男子と女子でグループが分かれたりする姿も。ある住民は「チームみんなで問題解決のための戦略を考えたり、アイデアを出し合ったりする場面がもっと生まれるといい」。公開された授業は、児童や見学者たちに好評だったが、塾のノウハウや教材を生かすためには、まだまだ指導や工夫が求められているようだ。

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 授業実施に当たっては、学校と塾で話し合い、メールのやりとりをしながら授業計画を作成したという。だが、教諭たちは「学校文化と塾文化の違いも感じた」という。

 教諭たちは、授業案を考える際、狙い(めあて)を明確にし、導入、展開、まとめの時間配分を細かく詰める。それは大切なことなのだが、一方で硬い、予定調和型の授業に陥る傾向もある。塾側はそうした公教育の閉塞(へいそく)感に風穴を開けようと、型破り、柔軟対応を求める。そのぶつかり合いがあるようだった。

 同校では今後、塾と連携した朝学習に取り組んだ上で、全体カリキュラムへの導入方法なども検討するという。市では市内全11小学校区から希望を募り、来年度から本格導入したい考えで、学校や住民の選択、対応が注目されている。

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【ワードBOX】官民一体型学校

 塾の教材や指導法を取り入れた新たな学校運営。佐賀県武雄市では市立小学校を対象に、来春から導入しようとしている。知識偏重から、問題解決力や対話力を重視した教育への転換を目指している。学校と塾の連携は、教員研修などで進んでいるが、官民一体による本格的な学校運営は全国で初めての試み。


=2014/09/02付 西日本新聞朝刊=

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