父と車いすの息子の挑戦描く仏映画「グレートデイズ!」 諦めぬ大切さ 感じて 障害あるエローさん主演

 フランス映画「グレートデイズ!‐夢に挑んだ父と子‐」が、8月29日から福岡市のTOHOシネマズ天神などで順次公開されている。車いす生活を送る息子と不器用な父親がトライアスロンの難関レースに挑み、親子の絆を再生していく物語だ。来日したニルス・タベルニエ監督(49)と息子役のファビアン・エローさん(20)に作品への思いを聞いた。

 《17歳のジュリアンは、失業して久しぶりに家に帰ってくる父親との再会を楽しみにしていた。だが父は、息子とどう接していいか分からず、向き合おうとしない。父が元トライアスロンの選手だったことを知ったジュリアンは、最難関のレース「アイアンマン」に一緒に出場したいと提案。最初は無謀だと反対していた両親だが、息子の熱気に押され、一家は団結していく》

 タベルニエ監督がこの映画を撮ることになったのは、ドキュメンタリーの制作で小児病院の神経内科を訪れたことがきっかけだった。重度の障害を抱えながら生きるエネルギーに満ちた子どもたちに刺激を受け、作品づくりを決意。主人公には実際に障害のある青年を起用したいとこだわり、5カ月かけて170もの施設を回ったという。

 ▼タベルニエ監督「長い道のりでしたが、彼に会えたのは本当にラッキーでした。イケメンだし、チャーミングだし、頑張り屋。ユーモアも謙虚さも持ち合わせていて、自らを省みることもできる」

 ▼エローさん「役者になりたいと思ったことはまったくありませんでした。理学療法士に勧められ、楽しそうだなと軽い気持ちでオーディションに応募したんです。僕に決まったと知って驚きました」

 エローさんは妊娠6カ月の超未熟児で生まれた。脳神経障害があるため、自力で歩くことはできず、自分が感じない心情を演じることは難しい。4カ月にわたる演技指導を受けて、撮影に臨んだ。

 ▼エローさん「自分の感情を役に合わせること、他の共演者と一緒に演じること、集中力を途切れさせないこと…。どれも大変で、何度も悩みました。楽しく、喜びもありました。今回の経験を通して人として成熟したと思います」

 ▼タベルニエ監督「失敗の中で埋もれるのではなく、そこから学び、エネルギーに変えていく。彼にはそんな力があります。障害とともに生きてきた中で培った一生懸命さだと思うのですが、そのこと自体がまさにこの映画のテーマでもあるわけです」

 ▼エローさん「最初に脚本を読んだとき、自分の経験に似ていると思いました。健常者と同じように自立したくて普通高校の工学科に通ったし、周りの人に反対されながらも自動車免許を取りました」

 トライアスロンのシーンは、臨場感にこだわった。山道の急坂を時速60キロで滑走するシーンもほとんどスタントなしでこなし、本物のレースにキャストを参加させて撮影した。フランスの美しい景色をバックに、困難を乗り越えていく息子の姿とともに、成長していく親も描かれる。

 ▼タベルニエ監督「人は変われるし、人生はいつでもやり直しがきく。映画を見て少しハッピーになり、自分に自信を持ってもらえたらうれしい」

 ▼エローさん「どんなに大変でも、決して諦めないで最後まで徹底して目的に向かうことの大切さを感じてほしい。もしうまくいかなくても、何もしないで諦めたときより、がっかりは少ない。それが人生なんですから」


=2014/09/04付 西日本新聞朝刊=

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