【アトピーは和食で治す】<上>下関市立市民病院・永田医師に聞く 野菜、根菜、魚介が基本

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下関市立市民病院・永田医師

 ●動物性タンパクと植物油摂取減らす 症例の8割改善 
 アレルギー疾患の一つとされてはいるが、その原因も対策も確立されていないのがアトピー性皮膚炎。直接的には皮膚に炎症が出るため、ステロイド剤による外用療法が推奨される中、山口県下関市立市民病院小児科の永田良隆医師(74)は患者や親の食事に目を付けた栄養学的アプローチによって1万人以上の患者の治療にあたり、その約8割を解決してきた。「下関療法」と呼ばれるその考え方と、自宅でできる実践をまとめた「アトピーは和食で治せ!」(864円)をKADOKAWAから刊行した永田医師に聞いた。

 -アトピー性皮膚炎をどうとらえているのか。

 アトピーの湿疹とかゆみを火事に例えるなら、炎が消えないのは燃え続ける燃料があるから。燃料とは食べ過ぎて生じた余分なお荷物であり、これが皮膚の表面に排出されて湿疹とかゆみの原因になっている。

 特に問題なのが食生活の変化による植物油と動物性タンパク質の過食。下関療法では、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状がなかった昭和30年代前半ごろの「和食」に戻し、燃料の供給源を減らす。

 -目の前の火はどうやって消すのか。

 皮膚の再生を促し、アトピーを効果的に早く治すにはまず炎症を抑える必要がある。消火する水にあたるのがステロイド外用剤だ。

 -ステロイドには副作用があると聞くが。

 問題は使い方にある。ステロイドは、ホルモンを産生する臓器の能力を弱める副作用があるから、恐る恐る少しずつ使う傾向がある。だが程度にもよるが、
炎が燃えさかっているときは、それ相応の水を使わねば消火はできない。

 まずは火を消すことを優先し、それなりの強い薬で対応。火の勢いが弱まったら、ステップダウンで徐々に使う水の量を減らしていくのがわれわれのやり方だ。ステロイドを短期的、戦略的に使うのがポイントだ。

 -要は使い方か。

 子どものアトピーに悩まされ、親までも睡眠不足になって食事に手が回らないと食事の質が落ち、燃料が途切れず、アトピー悪化の悪循環に陥る。ステロイドを使って一時的にかゆみを収めれば患者は熟睡でき、皮膚の再生が助けられる。

 基本は日々の食事にある。アトピー児を持つ親の場合、治る過程が見えてくると食事づくりも楽しくなるものだ。

 -食事療法といえば、原因食品を徹底的に除去するイメージがあるが。

 私も初期にはそうしてきたが、食事制限が厳しすぎると、実践が長続きせず、挫折しやすい。そんななかで目の前の患者を治したいと世界の栄養学を学び、臨床を重ねるうち、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状がなかった時代の「和食」に戻すことを思いついた。

 洋食でよく使う食材は「牛乳、鶏卵、肉と植物油」。一方、伝統和食は、「野菜や根菜類、魚介類」が基本。患者や栄養士らと和食の調理法を研究し、除去食療法に代わる食事療法である下関療法を施した1万例以上の症例の約8割において、患者がほぼ満足できる結果が得られている。


 ▼ながた・よしたか 1940年、鹿児島市出身。鹿児島大医学部小児科学大学院修了。2005年、下関市立市民病院(旧下関市立中央病院)小児科を定年退職。現在、同病院で週3回(月、火、金曜日)外来診療にあたる。同病院=083(231)4111。


=2014/09/10付 西日本新聞朝刊=

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