ランドセル、さらに個性的 女児向け 広がる選択肢 男児なお「黒」が過半数

福岡三越のランドセル売り場で品定めする親子。奥の男児向けコーナーは黒っぽい商品が並ぶ。

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 来春の小学校入学に向けた「ランドセル商戦」が熱を帯び、各店の売り場は品定めする家族連れなどでにぎわっている。多色展開が定着し、女児向けは刺しゅうなどの装飾も豊富になっている一方で、男児向けはなお黒が過半数を占めている。

 「これがいい。ハイ決まりね」。福岡市の福岡三越でランドセルを試着した女の子(6)は「パール紫」色を離さなかった。光沢のあるパールは今年の流行。かぶせの内側はピンクのヒョウ柄、スパンコール飾りも気に入った。

 一緒に来た母親(43)は「外から見えない柄はいいとして、紫は6年間のうちに飽きないか心配。本当はベーシックな赤か黒を選んでもらいたい」と苦笑い。最終的には子どもに任せるつもりだ。

 同店の販売促進担当マネージャー森山ミキさんは「はっきり意思表示して、色やデザインで選ぶ女の子が目立つ。キラキラした装飾が人気なのは、お母さんもネイルなどのおしゃれを楽しんでいる影響でしょう」とみる。

 □ □

 そもそも、ランドセルを使うことは義務ではないが、「女児は赤、男児は黒」が長年の定番だった。そこへ一石を投じたのがイオン(千葉市)。2001年に24色を売り出し、多色展開を浸透させた。今季は3万~8万円台の114種類を取りそろえる。パーツごとに選べる商品は、19万通りに組み合わせられる。

 少子化とともに「個性」が尊重されるようになり、「特に女の子向けは需要が『みんなと同じ』から『人とは違う』ものに変化してきた。今やファッションの一部です」(同社)。

 これに対して男児向けはあくまで学用品扱いのまま。丈夫さや軽さの機能が重視され、色やデザインの選択肢は事実上限られている。売り場では女児と同じように、赤や水色を欲しがる男児もいるが、親が制する「攻防」はよく見られる光景という。

 200色以上の人工皮革「クラリーノ」を製造するクラレ(東京)の調査では、男児の6割近くが黒を購入している。青や紺系以外の需要は乏しく、ランドセル最大手のセイバン(兵庫県)は今季、男児のみ紫と茶色を廃番にした。

 □ □

 福岡市の南当仁小学校で6年生に話を聞いてみた。自分でランドセルを選んだという子どもたちは、色を問わず「今もこの色が気に入っている」と口をそろえた。「傷を付けないように使ってきた。卒業しても持っていたい」とピカピカのランドセルを見せてくれた子もいた。

 購入を検討中の保護者の思いは「周りを気にせずに決めてほしい」(44歳母親)、「飾りすぎたものは教育の場にふさわしくない」(38歳母親)、「変わったものだといじめられそう」(43歳父親)などさまざま。子どもとしっかり話し合うことが、自主性や物を大切にする心を育む一歩となりそうだ。


=2014/09/13付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ