【ケニアからの報告 国際協力60年】<中>若さと行動力を武器に

更生施設の入所者にサッカーを教える古賀仁智さん(右) 拡大

更生施設の入所者にサッカーを教える古賀仁智さん(右)

農家の男性と収穫量の増加策を相談する永瀬光さん(右)

 赤土がのぞく芝生のグラウンドを、サッカーJ2・ギラヴァンツ北九州のユニホームを着たケニアの少年が駆け回っていた。「ジャリブ(挑戦しろ)」。古賀仁智(よしのり)さん(29)がスワヒリ語で声を掛ける。

 首都ナイロビ郊外にある少年更生施設「ゲスタル更生学校」。窃盗などを犯した10代の少年が3カ月の期限で入所し、性格や学力を見極めた上で全国の更生学校に移される。

 古賀さんは2012年3月、少年の健全育成を支援する青年海外協力隊員として佐賀市から赴任した。今年9月に帰国するまで、担当は体育と図工の指導。授業はもっぱらサッカーだ。

 ユニホームは、ギラヴァンツ北九州が12年に寄贈した。着ることを楽しみしている子どもたちに古賀さんはくぎを刺す。「練習する人にしか着せないぞ」

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 古賀さんは高校からサッカーを始め、大学卒業後は旅行会社に就職した。社会人になって、目標を持って自分を磨き、相手の気持ちを考えて行動することの大切さを実感した。「ゴールという目標を目指し、最善の選択を繰り返すサッカーは人生に似ている」

 いつか、海外でサッカーを教える仕事をしたい-。そう思い始めたとき、協力隊の存在を知って応募。会社を辞めて赴任した。

 サッカーは1人ではできないこと、用具を大事に使うこと…。口酸っぱく教えてきた。次第に他人のことを考えて行動できるようになり、率先して練習の準備をする子も増えてきた。古賀さんは「サッカーを通して学んだことを日常生活で生かしてほしい」と願う。

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 国際協力機構(JICA)によると、青年海外協力隊員の任期は原則2年。日本は相手国の要請に基づき、世界70カ国に20~39歳の隊員約1800人を派遣している。71人のケニアは世界最多という。

 その一人、堺田真隆さん(24)は大学卒業後、1年間の教師生活を経て隊員になった。ナイロビから車で約2時間半。国立公園を管理する公社に籍を置き、野生動物が生息するナクル湖国立公園で環境教育を担う。

 「ごみを食べた動物が死ぬこともあるんだよ」。堺田さんは週2回、湖周辺の小学校を訪ね、ポイ捨て防止を訴える。公園を訪れる観光客らを相手に、無料ガイドを買って出て、環境を守る大切さを伝える取り組みも始めた。「ポイ捨てが駄目だという意識が広がれば、少しずつ環境は良くなる。根気強く続けたい」

 ナクルに近い地方で農業支援を担当する永瀬光さん(39)は元警察官。3年半前の東日本大震災では、支援部隊として被災地に派遣された。開発途上国の人々からも寄付が集まったことを知り「日本人としてお返しをしたい」と協力隊に応募した。

 農業経験はほとんどないが、地元農家とともに収穫量アップを目指す。「住み込んでいるから、できることがある」。国際貢献の最前線で、若者の試行錯誤が続く。


=2014/09/19付 西日本新聞朝刊=

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