男女共同参画 「質」高めて 変わらぬ賃金格差、家事負担 10月から福岡市で啓発講座

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野口郁子さん

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 男女平等社会の実現を誓った「国連世界女性会議」(1995年、中国・北京)から来年で20年を迎えるのを前に、女性を取り巻く環境の「何が変わったか」を考える講座が10月、福岡市でスタートする。主催する非政府組織(NGO)「北京JACふくおか」の代表野口郁子さん(72)に、国内の現状について聞いた。

 「会議を受けて99年に男女共同参画社会基本法が制定され、各地で関係条例もつくられるなど『枠組み』は整った。ただ、本質的には何も変わっていない」。野口さんは開口一番にこう話した。

 例えば男女の賃金格差。内閣府の男女共同参画白書(2014年版)によると、男性の平均給与額の水準を100とすると、女性は正社員でも74にとどまる。共働きが増える中で、男性が家事に割く時間は女性の4割にすぎない。

 格差が埋まらない原因について野口さんは、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ、といった性別役割分担意識が根強いため」とみる。現状を打破するには「政府が本気で取り組むこと。育児休業制度をつくるだけでなく、男性が実際に取れるようにするなど、男女共同参画の『質』を高めていく施策が必要」と指摘する。

 意識転換を進めようと、同NGOは「草の根」の啓発活動に取り組んでいる。その一つが今回の講座だ。野口さんは「女性が安心して暮らせる社会は、子どもや障害者など誰もが生きやすい社会。男性こそ講座に参加して、現状を知ってほしい」と話した。

 ●多彩な視点で3講座

 北京JACふくおかの講座は10~12月の全3回。
 (1)「生きにくさの謎に迫る-ジェンダーとお金の流れを通して」 10月4日午後1時半~4時。東京大学社会科学研究所教授の大沢真理さん=写真=が経済学者の視点で語る。定員150人。

 (2)「国連女性差別撤廃条約と日本の女性たち」 11月15日午後2~4時。講師は福岡女子大学名誉教授の吉崎邦子さん。定員40人。

 (3)「福岡で働く女性とひとり親家庭の現状と課題」 12月13日午後2~4時半。ワーキング・ウィメンズ・ヴォイス代表の時永裕子さん、しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福岡理事長の大戸はるみさんが報告。定員40人。

 会場はいずれも福岡市南区高宮3丁目の同市男女共同参画推進センター・アミカス。参加費各回300円。申し込みはメール=pekinjacfuk@yahoo.co.jp=かファクス=092(641)8255=で先着順に受け付ける。

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【ワードBOX】北京JAC (Japan Accountability Caucus)

 国連がアジアで初めて開いた「第4回世界女性会議」(北京女性会議)を機に発足した非政府組織。全国に10の地域団体がある。同会議では女性政策の指針となる「北京宣言」と「行動綱領」が採択され、女性の地位向上や、女性に対する暴力防止などが盛り込まれた。北京JACはその実現に向けて、政治・行政への政策提言などを続けている。


=2014/09/20付 西日本新聞朝刊=

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