低用量ピル 治療への利用拡大 血栓症 兆候あれば受診を

国内で販売されている低用量ピル 拡大

国内で販売されている低用量ピル

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 避妊薬の低用量ピルが国内で発売されてから、今月で15年を迎えた。近年は避妊目的だけでなく、重い生理痛や子宮内膜症の治療薬としても利用が広がっている。一方、発生頻度は低いものの、副作用に血栓症があり、死亡例も報告されている。血栓症の兆候を知り、異変を感じた場合はすぐに医療機関を受診することが大切だ。

 欧米に遅れること約40年、国内では1999年9月に低用量ピルの販売が始まった。普及に尽力してきた日本家族計画協会理事長の北村邦夫さんの推計では、昨年の利用者数は132万人に上る。

 ピルは、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンを含む錠剤で、卵巣の働きを抑え、排卵を抑制する。21日間服用後、7日間休薬するか偽薬を飲むのが一般的だ。正しく服用した場合、100%近い避妊効果を発揮する。

 「女性のQOL(生活の質)向上にも効果的です」と北村さん。副効用として、生理不順の改善や貧血軽減、卵巣がん、子宮体がんの減少‐などが報告されている。旅行などに合わせ、生理日を調整することも可能だ。2008年には、月経困難症の治療薬としてLEP製剤とよばれる保険適用のピルも登場した。ホルモン量を減らした超低用量ピルも開発されている。

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 副作用として注意しておきたいのが血栓症だ。

 血栓は、血の流れが遅い静脈にできやすい。ピルに含まれる女性ホルモンは、血液を固める成分の合成を促す。日本産科婦人科学会の調査では、過去5年間に低用量ピルを服用中の13人が、血栓が肺や脳の血管に詰まって死亡していた。

 厚生労働省は1月、超低用量のLEP製剤「ヤーズ」について、10年の販売以降、服用中の3人が血栓症で死亡したと発表。販売会社に、添付文書に警告欄を設けて注意喚起するように指示した。

 米国の疫学調査によると、静脈血栓症の発症リスクは、一般女性で年間1万人あたり1~5人。低用量ピルを服用すると3~9人に高まる。ただ、妊娠中(5~20人)や産後12週間(40~65人)に比べれば頻度は低い。抗がん剤治療や骨折治療で起こる血栓症の頻度と比べても、極めて低い。

 横浜南共済病院心臓血管外科部長の孟真(もうまこと)さんは「血栓症は早期発見、早期治療で重症化が防げる。リスクを理解し、兆候を見極めることが大切」と指摘する。

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 血栓症は、服用開始後3カ月以内が最も起こりやすい。激しい頭痛▽視野が狭い、見えにくい▽舌がもつれる、失神▽激しい胸痛、息苦しさ▽激しい腹痛▽ふくらはぎの痛みやむくみ、赤み‐などの兆候がある。

 学会は、6月に重症化を防ぐための対策をまとめた。35歳以上の喫煙者など血栓ができやすい人には処方しないことや、処方時に血栓症の症状を説明し、異変があれば医療機関を受診するよう勧めること、他の医療機関で投薬や手術を受ける際はピル服用を伝えるよう指導することなどを盛り込んでいる。

 避妊薬としてのピルには保険が効かず、1カ月2500円~3千円程度かかる。そのため、最近は安く入手しようと、医療機関を受診せずインターネットで個人輸入する人が増えてきているという。北村さんは「トラブルがあってもすべて自己責任で、非常に危険。定期的に婦人科で診察を受け、リスクとメリットを理解しながら使うことが大切」と話す。

 ピルに関する相談電話は、OCコール=03(3267)1404。月~金の午前10時~午後4時に受け付けている。


=2014/09/27付 西日本新聞朝刊=

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