【こんにちは!あかちゃん 第21部】さぁ!新制度 選び方は<5完>「地域型」で多様な保育

マンションの一室にある「おはな」では、子どもたちが家庭的な雰囲気の中、伸び伸びと過ごす。奥の台所が調理場

 粘土遊びをしたり、お絵かきしたり。マンションの一室を利用した家庭的保育室「おはな」(福岡市西区)で1、2歳の子ども5人がゆったりと過ごしていた。「小さいうちは家庭的な雰囲気の中で育てたい」。通販会社のオペレーターと介護のホームヘルパーを掛け持ちしながら働く段村順子さん(40)は、長女(1)を自宅そばのおはなに預ける理由をそう語る。

 《新制度では認可保育所、幼稚園、認定こども園のほか、「地域型保育」が新設されたのが目玉だ。地域型保育とは、(1)「おはな」のような家庭的保育(保育ママ、定員5人以下)(2)小規模保育(6~19人)(3)事業所内保育(4)居宅訪問型保育‐の4タイプ=図参照。原則20人以下の少人数で0~2歳を預かる。家庭的保育や小規模保育はこれまでも一部自治体では独自に運営されてきたが、新制度で認可されれば運営費が国や市町村から支給される》

 「保護者は全員顔見知り。ほかの子の成長もわが子のようにうれしい」と言う段村さんは妊娠4カ月。福岡市の場合、補助金のおかげで保育料は認可保育所の7割程度に抑えられているが、新制度に移行すると認可保育所と同じ水準に上がる。それでも家庭的保育への満足度が高い段村さんは2人目も、おはなを利用しようと考えている。

 《待機児童の8割を占める0~2歳児。都市部では用地が確保できないことなどから新たな認可保育所を建設するのは難しい。既存のマンションの一室や民家などを利用したり、企業内にある託児所を活用したりする地域型保育は、待機児童解消の切り札として期待される》

 「会社に託児所がなかったら今の私はない」。健康食品通販大手のやずや(福岡市南区)の正社員、鶴澄子さん(36)は心底そう思う。長女(2)と次女(1)と一緒にマイカー通勤。本社内に設置された託児所に2人を預け、午前10時~午後6時まで働く。終業後は一緒に帰宅。下の子が生後7カ月になったときに職場に復帰した。「突然、発熱してもすぐに迎えに行ける。残業になっても柔軟に対応してくれる。ありがたい」

 新制度の認可施設に位置づけられる事業所内託児所だが、移行するかどうかは事業所の判断に任される。福利厚生のため、ほとんどの託児所は採算を度外視しており、認可施設に移行すれば運営費が公費で賄えるメリットは大きい。

 ただ、人員配置や広さなどの施設面で認可保育所並みの基準を満たすことが求められる。社員以外の子どもを一定程度受け入れる条件もある。百貨店の岩田屋三越は福岡市・天神の本店に託児所を設けているが「セキュリティー面から社外の人を入れるのは考えにくい」(総合企画部)と移行に難色を示す。

 新制度で多様なサービスが生まれるよう、国は基本的な枠組みを示した。あとは保育料を軽減したり、利用条件を緩和したり…。地域のニーズを把握し、どうきめ細やかに運営していくかは、市町村の裁量だ。市町村の意気込みが問われているし、どんな施策が必要か、保護者も声を上げていくことが求められる。 =おわり


=2014/09/30付 西日本新聞朝刊=

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