「世界一幸せな国」デンマークの政治は 福岡市でシンポ 被選挙権18歳以上 女性国会議員4割

ラッセ・H・ピーダセンさん(右)とシイナ・W・ソオレンセンさん(左) 拡大

ラッセ・H・ピーダセンさん(右)とシイナ・W・ソオレンセンさん(左)

 ●多様な声 反映する制度 
 国連ランキングで「世界一幸せな国」と評されたデンマーク。18歳以上に選挙権、被選挙権があり、若者が積極的に政治に関わっている。こうした若者や女性など、多様な声を政治に反映させるにはどうしたらよいのか。現地から10代の市議らを招き、9月に福岡市で開かれたシンポジウム(市民団体教育文化研究所主催)をのぞいた。

 北フュン市から、高校生で市議となったラッセ・H・ピーダセンさん(19)と、20歳で市議となり現在は大学院生のシイナ・W・ソオレンセンさん(25)が参加した。2人が政治に関心を持ったきっかけは、身近な「社会への不満」だった。

 ソオレンセンさんは、罪を犯した若者の社会復帰策を変えたかった。「10代のいとこが当事者となったが、犯罪に引き戻すような対策だった。同世代の私ならもっといい政策を出せると思った」

 ピーダセンさんは学校への憤りが原点。母親の女性パートナーも一緒に暮らしていることで妹が「レズビアンの娘」といじめられ、学校は何も対処してくれなかった。生徒会や保護者らとつくる学校運営委員会に参加し、市議選への立候補につながった。「不満を言うばかりでは何も変わらない。自分で社会を変えることだ」

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 2人が声をそろえたのは「年齢や性別を超え、社会のさまざまな層の代表者が参加してこそ真の民主主義」ということだ。

 ソオレンセンさんが同市で最年少市議となったとき、議員は平均54歳、2番目の若手は35歳だった。「50代だけで決めた政策は青少年への配慮に欠ける。私たちの経験不足を懸念した人もいるが若いなりの意見があるし、参加してこそ経験を積める」。ピーダセンさんは「若者の声に耳を傾けないと、若者は政治に関心を持たなくなってしまう」と、年長者側の意識の大切さを指摘した。

 デンマークでは女性の国政参政権は日本より30年早い1915年に実現し、今では国会議員の4割を占める。ソオレンセンさんは日本に来て女性議員の少なさに驚いた。「デンマークでも以前は女性が家庭で子どもや高齢者、障害者を世話していた。女性の社会進出で世話をする人が減ったが高福祉国家をつくり、さらに進出を後押しした」。国の文化は一朝一夕に変わらなくとも「職場や政治で活躍する女性が増えれば日本も変わる」と期待した。

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 若者や女性が政治に参加しやすい背景は、誰にでも開かれた制度がある。

 例えば立候補に供託金が必要ない。日本の選挙には「地盤、看板、かばん」の組織力、知名度、資金力が必要とされる。国政選挙は供託金だけで最大600万円を準備しなくてはならない。「それではお金のない人が立候補できない。私は自分の4万円と政党からの支援金2万円、計6万円で済んだ」とピーダセンさんは目を丸くした。

 シンポジウムに加わった「日欧文化交流学院」(デンマーク)の千葉忠夫理事長は「教師や警察官などでも地方議員に立候補でき、兼業議員が多い。議会は仕事が終わった夜に開かれる」と、多様な人材が集まる理由を話した。

 日本では25歳以上しか被選挙権を持たないと知ったソオレンセンさんは「若者はなぜ不満の声を上げないの。民主主義は国民主権でしょ?」と訴えた。


=2014/10/04付 西日本新聞朝刊=

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