【耕運記】古紙回収マッチングサイト 企業と業者 市がつなぐ

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サイトは「福岡市マッチング」で検索を

古紙が大量に出る企業は業者と契約、定期的に回収してもらっている

 「マッチングサイト」。恋人探しや婚活用のサイトかと思えば、そうではなかった。古紙回収を望む会社や商店などの事業所と回収業者との契約を支援する福岡市が運営しているサイトだ。なぜ市が“出会い”の手伝いなのか。担当課を訪ねた。

 「ごみの減量や古紙のリサイクルに事業所が取り組みやすいようにするためです」。こう説明してくれたのは環境局資源循環推進課の近藤美由紀課長。

 大量に古紙を出す企業は回収業者と個別に契約するのが通例。西日本新聞社は週3回、来てもらっている。ところが、それほど古紙が多くない事業所は量も少なく回収してもらう方法も分からない。両者をつないで、ごみとして捨てられる古紙を少しでも資源ごみに回してもらう狙いだ。

 サイトの使い方は至って簡単。サイト内の申し込みフォームに所在地、古紙の種類と重量、駐車場の有無などを入力する。それが登録済みの回収業者21社に自動配信され、4日以内に回答が来る。受け取った回答の中から希望の業者に連絡し、詳細を詰めるという流れだ。無料で回収してくれる業者を探せる可能性も高い。同課によると、このようなサイトは全国的に珍しいという。

 事業所は、複数の業者から条件や見積もりが得られることから問い合わせの手間が省けるなど好評という。業者側にとっても、通常の回収ルート上なら余分な経費を使わずに古紙が受け取れるメリットがある。

 ただ、サイトの知名度不足が課題だ。同課によると、事業所の申し込みは2013年度、53件。本年度は9月末で46件と増えてはいるが、成約に至ったとの報告は13件にとどまっている。

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 事業所がごみ減量に努めることは法律によって義務づけられている。市の事業系ごみは13年度、約27万6千トン。第4次ごみ処理基本計画(11年度策定)では25年度の目標を20万トンとしている。事業系の可燃ごみのうち約54%(07年)を占める紙類は、その鍵を握る。

 同市は事業系ごみの資源化を進めるため11年10月、「全国的にも類似例
はなかった」(同課)ファンドを設立した。それまで一部免除していた可燃ごみなどの処理手数料を元に戻すことで増える収入の一部を、毎年積み立てる仕組みだ。

 ファンドの残額は13年度末で約3億5400万円。本年度は、市内の全事業所約6万5千カ所に配布するごみ処理ルールブック作製(約900万円)、資源化施設の建設費補助(約6700万円)など7件、約1億1600万円の事業を予定する。サイト立ち上げは前年度の事業の一環だ。

 多額の事業費が動き、工夫を重ねるごみの資源化。効果を上げなければ、せっかくの予算がそれこそ無駄金になる。

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 マッチングサイトを利用する中小の事業所は、古紙の置き場がないことを悩みとして挙げる所が多かった。サイトの返答期間を7月以降、当初の8日間から半分の4日間に短縮したのも「置いたままにしておけないのに、成約までの時間がかかりすぎる」との声があったためだ。意外とこんな細かい事情が「まあいいや」とリサイクルへ乗りだす気持ちをそいでいる。

 ある回収業者は「少量でも大丈夫かとの問い合わせが増えている」と意識の高まりを感じるという。そうした一人一人の気持ちをくみ取り、具体的な行動に向けさせる“マッチング”はないものだろうか。男女の仲を取り持つ感覚かも。

 担当課の身近な取り組みを聞いてみた。4段の古紙回収箱はコピー機の横の目立つ所に設置。個人用のごみ箱は「安易にごみとして捨てるのを防ぐため」撤去した。課のごみ箱の前では「それはごみですか」と張り紙が問い詰める。近藤課長は「できるところからやってほしい」と話す。

 ごみをどう扱うか。職場の過ごし方や暮らしを見つめ直す機会にもなりそうだ。まずは近くのごみ箱を追いやることから始めるか。


=2014/10/08付 西日本新聞朝刊=

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