【信仰×新考 うるおいプラス・心】仏像鑑賞 心で感じて 好きなものをじっくり お寺での拝観は「仏様」として

「九州仏」展でも展示される観世音寺(福岡県太宰府市)の兜跋毘沙門天立像 拡大

「九州仏」展でも展示される観世音寺(福岡県太宰府市)の兜跋毘沙門天立像

 九州各県の秘仏や新発見の仏像を含む約100体を展示する特別展「九州仏」(西日本新聞社など主催)が12日から11月30日まで福岡市博物館(同市早良区百道浜)で開催されます。歴史的な背景や様式など学術的な知識がないと楽しめないなんてことないはず。趣味の仏像鑑賞が高じ、「仏像入門in福岡」を出版した医師の小池楓生子(かえこ)さん=福岡市在住=にありのままの仏像鑑賞のこつを語ってもらいます。

 多くの方はお寺を訪ねるというより「○○展」のような博物館、美術館での展示会から始めることが多いかと思います。その際、留意するのは「全ての作品を時間をかけて見なくてもよい」ということです。

 展示場に入ったら、まず入り口から出口まで、両側の展示作品を見ながらサッと歩き通します。その後、気になった仏像のところまで戻り、じっくりと眺めてみるのです。説明書きを読んで作品に対する理解を深めるのもよいですが、理屈ではなく、好きな仏像をただ見つけるだけでよい。「自分の好きな仏像」が「世の中から価値があると評価されている仏像」と異なっていても関係なし。仏像から何かを感じることができれば収穫だと思います。

 「気になる仏像」という感覚が得られにくい場合は、「ひとつだけ安く購入できるとしたらどれを選ぶか」という視点で眺めるのもよい方法です。マニアの私でも、一つの特別展で思い出に残るのはそうありません。その仏像の前を、何度もウロウロしています。入場料の元を取ろうと、展示順にひとつひとつ見ていては疲れるばかりです。

 次に、退場口から出たら、記念品売り場に立ち寄ってみては。特別展であれば出口すぐのところに期間限定品が販売されていますし、常設展であれば、ミュージアムショップを探してください。阿弥陀(あみだ)如来で有名な京都の平等院鳳凰堂のショップでは、雲中供養菩薩(ぼさつ)という総計52体の小さな仏像が、ちょうど52枚に印刷され、トランプとして売られています。私はそれを「七並べゲーム」のようにずらりと並べて、額に入れて部屋に飾っています。寝室におけば極楽の夢が見られるかもしれません。トランプ販売をするなんて、近年の仏教界は、以前のような堅苦しさが少なくなっていると感じます。

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 展示会で仏像に興味を持つようになったなら、実際にお寺に出かけて仏像を拝観してみては。「美術品」として眺めるだけでなく、「仏様」として対峙(たいじ)してみるのです。

 最近では文化財を守るため、特に国宝や重要文化財の仏像はセキュリティーを保てる場所に置くことが義務づけられています。それがコンクリート製の収蔵庫であることも少なくありません。それでも、お寺の境内という雰囲気の中で出合う仏像には、思わず手を合わせて拝まずにはいられない何かを感じます。「見仏」から「拝仏」に変わる瞬間とも言えるでしょう。

 例えば、「九州仏」ポスターの表紙にも挙げられている観世音寺(福岡県太宰府市)の兜跋毘沙門天立像(とばつびしゃもんてんりゅうぞう)。兜跋、現在の中国新疆ウイグル自治区のトルファンに現れたという伝説から作られていて、よろいを着た姿がいかにも異国的です。この像は観世音寺にある諸仏のうち最も古く、最も優れているとされています。

 「九州仏」展を見た後、もう一度この像に会うためにも、観世音寺まで足を運んでみるのはいかがでしょうか。宝蔵の階段をのぼって、まず目に入ってくる巨像たちに(高さ5メートル以上のものもあります)、初めて訪れる人は「うわっ」と叫び声が出ることうけあい。そして、自然に「仏様」たちを拝みたくなるに違いありません。 (談)


=2014/10/10付 西日本新聞朝刊=

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