【子どもの貧困を考える】「フードバンク北九州ライフアゲイン」 空腹の子ども支援 食品ロスを活用

■広がる産学官のネットワーク 
 厚生労働省は7月、2012年時点の子どもの貧困率が16・3%と過去最悪を更新したと発表した。子どもの6人に1人が貧困にあえぐ日本。飢える子どものセーフティーネット構築に食品ロスを活用しようと、NPO法人「フードバンク北九州ライフアゲイン」(北九州市八幡東区、原田昌樹理事長)は、学校関係者や企業を巻き込んだ取り組みを始めている。

 9月中旬、福岡市東区の食品倉庫には、90本入りのバナナ20箱が積み上げられていた。検品で包み袋を破られ、卸せなくなったものを大手食品会社「ドール」からフードバンクが無償でもらい、福祉施設などに配布している。缶詰なども提供を受けている。

 この日は、原田理事長と永野英男副理事長のほか、福岡県内で学校を拠点に子どもの家庭問題にも踏み込むスクールソーシャルワーカー(SSW)の女性も立ち会った。試食して「新鮮というか、まだ堅いくらいですね」と目を丸くした。

 このSSWが関わる複数の小中学校では、貧困や親が食事を作らないため朝食抜きで登校し、いらいらしたり体育の時間に腹痛を起こしたりする子どもたちがいる。福祉関係者を通じてフードバンクを知り「空腹だと勉強にも身が入らない。午前中に学校で何か食べさせたい」と相談。学校と協議するため、試験的にバナナを受け取りに来た。

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 この相談は、フードバンクにとっても“渡りに船”だった。フードバンク北九州ライフアゲインは2013年3月に設立し、今月NPO法人となった。貧困の子ども支援を活動の主軸としたが、公的支援を受けず、SOSも発信できずに貧困に陥っている家庭など「見えない貧困層へのアプローチが課題だった」(原田理事長)という。

 一方で企業は、食品ロスを活用した低コストの社会貢献に注目する。2月、フードバンクを支援している公益財団法人が、県内の食品関連企業204社に実施したアンケートでは、飲料メーカーや製菓会社など43社がフードバンクの活動に「興味がある」と回答。8月にはフードバンクと北九州市立大が「食品ロス削減研究会」を立ち上げた。企業に食品提供を呼び掛ける予定という。

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 産学官のネットワークが広がるにつれ、課題となっていくのが、橋渡し役であるフードバンクの組織強化だ。スタッフは約30人。提供を受ける食品が増えれば、保管場所や配布の人手も必要になる。永野副理事長は「大学生や定年退職を迎えた方など協力者を増やしたい」と語る。

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 ●シンポジウム開催 北九州市で25日

 NPO法人「フードバンク北九州ライフアゲイン」は25日(土)午後1時半から、北九州市戸畑区のウェルとばたでシンポジウム「食品ロスと子どもの貧困を考える」を開く。貧困状態の子どもの食事支援をするNPO法人「フードバンク山梨」の米山けい子理事長や、日本国際飢餓対策機構の田村治郎・国内啓発総主事らが講演する。参加無料。事前申し込みが必要。同法人=093(672)5347。


=2014/10/11付 西日本新聞朝刊=

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