【こんにちは!あかちゃん 第22部】人口増へ 走る自治体<1>婚活支援 そこまでやる!?

福岡県の結婚サポートセミナーの様子。仕事にも生かせるコミュニケーション術を学ぶ 拡大

福岡県の結婚サポートセミナーの様子。仕事にも生かせるコミュニケーション術を学ぶ

 2040年に全国の約半数にあたる896市区町村で「自治体消滅」の可能性がある‐。民間の政策提言機関「日本創成会議」は今年5月、ショッキングな未来予想図を公表した。少子化、人口減は待ったなしの課題。知恵を絞り、あの手この手で走り回る自治体の取り組みを報告する。

 「なんでもいい、はやめましょう。具体的な要望を伝えた方が相手も楽です」「はい、いいえでは答えられない質問で相手の気持ちを引き出して」。講師の女性の言葉に、参加者たちは熱心にメモを取った。

 福岡県が8月に始めた「結婚サポートセミナー」。県は、05年から「新たな出会い応援事業」として2千回近くの出会いイベントを開いてきた。過去にはマナーや身だしなみ講座も開いたが、今回のテーマはコミュニケーション術やワークライフバランスのこつ。「婚活パーティーで出会っても交際が続かない。なんとか改善したくて…」。婚活歴3年の男性(45)は、参加理由をそう語った。

 この事業での「結婚報告」は300組を超えた。ただ、自主報告に基づいているため「出会いの場の提供はできても、その後の追跡は難しく、正確な効果は測りにくい」(県担当者)。それでも県が事業を続けるのは「何もしないわけにはいかない」という危機感だ。

 こうした交際術を指南する自治体は他にもあり、お笑い芸人やホストが講師の例もある。

 《生涯未婚率は10年に男性20・1%、女性10・6%に達した。内閣府の11年の調査によると、都道府県の3分の2、市区町村の3分の1が婚活支援に取り組んでいる。出会いの場の提供が中心だったが、新たな支援に乗り出す自治体が増えてきた》

 かつての「世話焼きおばさん、おじさん」を復活させたのがその一例だ。茨城県は、婚活支援ボランティア「マリッジサポーター」を公募。地域の人脈を生かしてお見合いをセットするなど、約700人が活動中だ。

 お見合いを直接仲介する自治体も出てきた。佐賀県武雄市は10年に「お結(むす)び課」を設置し職員3人を置く。主な業務は登録者同士のマッチングで、近隣の市町と合同イベントも開く。民間から登用された古川英明課長(71)は「お見合いに立ち会うだけでなく、事前にマナーや自己PRの助言もする」と話す。

 親を巻き込んでの婚活も。島根県は12年から、親の「代理お見合い」を定期的に行っている。香川県も親世代を対象にしたシンポジウムを開き、親向けの婚活本を作成中だ。担当者は「出会いから結婚までのプロセスや考え方が異なり、子ども世代のことを理解できないという親も多いため」と説明する。

 大人相手に対策を打っても間に合わないと、ついには、10代へ訴える自治体も現れた。山形県は高校生を対象に人生設計を考える「ライフプランセミナー」を実施。子どもが赤ちゃんとふれあう授業や、恋愛学講座を開く自治体もある。

 《政府は13年度補正予算で、結婚から子育てまで幅広い事業に使える「地域少子化対策強化交付金」(30億円)を創設。国が婚活支援の予算を設けるのは初めてのことだ》

 だが、自治体の婚活をめぐっては、効果への疑問や、男女交際という個人的なことに立ち入ることへの反発もある。自治体の婚活支援に詳しいNPO法人全国地域結婚支援センター(東京)代表の板本洋子さん(66)は「そこまでやるかという意見もあるだろうが、切羽詰まった地域事情がある」と指摘する。一方で「結婚すべきだという価値観の押しつけになってはならない。多様化する家族のあり方や結婚の形に、どのように社会がかかわっていくか、考えるきっかけにしてほしい」と力を込める。


=2014/10/21付 西日本新聞朝刊=

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