【こんにちは!あかちゃん 第22部】 人口増へ 走る自治体<3>保育や医療 補助金多様

 少子高齢化や人口減少は、労働力の減少や地域社会の衰退につながる-。こうした事態に歯止めをかけようと、自治体はさまざまな補助金を用意し、子育て世代へアピールしている。

 福岡、北九州両政令市の中間に位置する福岡県宮若市。2006年に宮田町と若宮町が合併して誕生したが、人口減が続き、2月には高齢化率が初めて30%台に突入した。

 「部活に教材費にと何かとお金がかかるので助かっています」と話すのは、同市の山本優子さん(29)=仮名。再婚し、上の子2人は高校生。2歳の娘を保育所に預け工場でパート勤めをしている。保育料は無料だ。

 通常、兄弟姉妹が同時に保育所に通っている場合、保育料は第2子が半額、第3子以降は無料。宮若市では昨年度から、18歳未満の子がいる世帯で、同様の減額措置を始めた。市の担当者は「子育て世代にとって魅力あるメニューをたくさん用意することで、市外からの転入者が増え始めた」と胸を張る。

 各自治体が競い合うように導入しているのが、子どもの医療費に対する助成制度だ。厚生労働省によると、中学3年まで入院時に公費負担している都道府県は09年の4県から12年には8県に拡大。市区町村も516から1004へとほぼ倍増した。

 約2700人が暮らす北海道南富良野町は、全国で最も子どもの医療費助成が手厚い。親の住民票が町にあれば、町外の大学や専門学校に通う子どもも、22歳になった学年の年度末まで入院・通院費の自己負担分を町が出す。11年8月の制度導入後、年間200万円程度だった助成額は、5倍の1千万円にまで膨らんだ。保健福祉課の担当者は「大幅な人口増は難しいが、転出の抑制にはつながっているのでは」と分析する。

 子どもが生まれたときの「祝い金」を充実させている自治体も。鹿児島県・徳之島の伊仙町は第1子5万円▽第2子10万円▽第3子以上15万円-を支給している。08~12年の合計特殊出生率は2・81で、全国トップだ。福島県矢祭町は、第1子と第2子誕生時に10万円▽第3子50万円▽第4子100万円▽第5子以上150万円をそれぞれ支給。さらに第3子以降は2~11歳まで、毎年5万円の「健全育成奨励金」を支給している。

 定住促進策として、住宅に対する支援を行う自治体も多い。新築や中古住宅購入、リフォームの際に助成金を出したり、家賃を補助したり。埼玉県では、立地や設備などの条件を満たした住宅を「子育て応援住宅」として認定し、購入者は住宅ローンの優遇金利が適用される制度を導入している。

 佐藤美香さん(32)=仮名=一家は2年前、長男が1歳を迎える直前に、北九州市から福岡県宗像市へ転居してきた。子育て世代に対する手厚い住宅支援に引かれたからだ。本来の家賃は月額5万3千円だが、実際は2万円安く済んでいる。

 利用しているのは、新婚夫婦と未就学児がいる転入世帯に、民間賃貸住宅の家賃を月額最大2万円、最長3年間にわたって市が助成する制度。市によると12、13年度で計523件の利用があり、アンケートではその65%が「制度が入居の要因になった」と回答したという。佐藤さんは「子どもの遊び場もたくさんあり、育児講座などママ向け支援も充実している。3年だけのつもりが、ずっと住みたいと思うようになった」と話す。

 ただ、限られたパイの奪い合いでは、根本的な少子化の解決にはならない。同市の中村博二・都市戦略室秘書政策課係長(42)は「制度はきっかけ。住みたい、もう1人産みたいと思われるような子育てしやすいまちにしていくことが重要だ」と話している。


=2014/10/23付 西日本新聞朝刊=

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