【こんにちは!あかちゃん 第22部】 人口増へ 走る自治体<4>妊娠から育児 一貫ケア

妊婦(手前)から悩みなどを聞き、ケアプランを作る子育てケアマネジャーの藤井園子さん(左)=千葉県浦安市 拡大

妊婦(手前)から悩みなどを聞き、ケアプランを作る子育てケアマネジャーの藤井園子さん(左)=千葉県浦安市

 子育てに悩みはつきない。妊娠から出産、子育てまで、親が直面するさまざまな悩みの相談に乗り、切れ目なく支える仕組みが広がり始めている。

 千葉県浦安市が20日に開設した「こんにちはあかちゃんルーム」。来年6月に第4子を出産予定の女性(36)は市に提出する妊娠届に記入しながら、「里帰りしないから大変だと思います…」と切り出した。対応した藤井園子さん(49)は、一時預かりや家事支援サービスを紹介し「愚痴でも何でもいいよ、気軽に電話して」と声を掛けた。

 藤井さんは市の「子育てケアマネジャー」の一人だ。同市では、妊娠届の提出時、出産前後、子の1歳誕生日の計3回、ケアマネと保健師が面談し、家庭環境や就労状況に合った「子育てケアプラン」を作成する事業を始めた。面談で親子の状況を早期に把握し、児童相談所や医療機関とも連携して、孤立化や虐待の防止につなげる狙いだ。2回目以降の面談時には育児用品の詰め合わせを渡すなど、多くの妊産婦の利用を促す。

 厚生労働省によると、2003年から約10年間で虐待死した子どもは546人。0歳児は240人で44%に上る。育児放棄、生まれたまま放置など、0歳児のうち4割が生後1カ月未満で亡くなっている。

 妊娠中には医療機関による14回の妊婦健診があるが、多くの自治体は妊娠届を受け取るだけで、妊婦の状況を把握する機会がない。関係機関の連携がうまくいかず、出産後4カ月以内に義務付けられている保健師などの家庭訪問まで、親子の生活状況は分からず、支援から取りこぼされるケースも少なくない。

 そこで先行事例として注目されているのが、フィンランドの「ネウボラ」だ。

 「助言の場」を意味する相談支援拠点。人口数万人に1カ所ある。担当の保健師が妊娠期から就学前まで一貫して相談に乗り、育児不安や子どもの発達、家庭内不和などすべての問題に対応し、必要なサービスにつなげる仕組みだ。手厚い支援のためか、同国では合計特殊出生率1・8の水準を保っている。

 《切れ目のない支援を目指し、厚労省は本年度「妊娠・出産包括支援モデル事業」を展開。浦安市や三重県名張市など28の市町村が取り組んでおり、来年度は実施自治体を150まで増やしたい考えだ》

 埼玉県和光市も「和光版ネウボラ」を10月からスタートさせた。各地域の子育て支援拠点施設に、保健師や助産師による「母子保健コーディネーター」を配置。役所でしていた母子手帳交付を行い、育児不安を抱える妊産婦に対してはケアプランを作成する。通所型、宿泊型、訪問型の産後ケアサービスも充実させた。東内京一・保健福祉部長は「窓口を一本化することで行政の縦割りを解消し、地域で支えていく仕組みにしていきたい」と意気込みを語る。

 民間でも「ネウボラ」を目指す動きがある。東京都世田谷区の「古民家ママス」。週に2回、0歳児を中心にした子育てサロンが開かれ、多い日は50組近い親子が集まる。生後9カ月の双子を育てる穂苅知美さん(33)は「ここで先輩ママたちに助けられた」。育児に疲れ、迷ったとき、話を聞いてもらうだけで楽になったという。

 運営グループ代表の吉原佐紀子さんは3年前にネウボラの仕組みを知り、「小さなネウボラ」をイメージして活動してきた。保健師や助産師による講座を定期的に開き、気がかりな母親を行政の支援につなげたこともある。「継続的に関わっていたからこそ、変化に気づけた」と吉原さんは言う。

 「核家族化が進み、社会や地域とのつながりが薄くなる中、孤立無援で子育てする親が増えている。ネウボラのような仕組みが、まさに今の日本に必要な支援だ」


=2014/10/24付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ