【保育どこいく】地域型保育を考える(下) 連携施設 来春までの確保困難 政令市8割 経過措置

 来年4月に始まる「子ども・子育て支援新制度」。目玉の一つが、待機児童の8割を占める0~2歳児を専門に預かる「地域型保育」だが、参入するには“パートナー”となる連携施設を探さねばならず、ネックになっている。(上)(10月18日付)ではこうした現状を報告したが、今回は連携施設をどう確保するか、自治体の支援体制に注目した。全国20政令市の対応を調べると温度差があった。

 地域型保育とは、家庭的保育など20人未満の少人数を預かる新しい枠組み。認可外保育所の多くが参入を検討している。ただ、国は「認可保育所並みの質を確保するため」、認可保育所などの連携施設を確保することを求めている。

 しかし、連携施設になるには(1)給食の搬入や嘱託医による合同健康診断など保育の支援(2)地域型保育の保育士らが急病の際の代替保育(3)卒園後(3歳)の受け皿‐などが求められ、ただでさえ定員オーバーの認可保育所などは、連携施設を引き受ける余裕がないのが実情だ。

 こうした状況を受け、国は「5年間(2019年度まで)は連携施設がなくてもよい」という“経過措置”を設けている。

 しかしこの経過措置については、自治体の裁量に任されている。全国20政令市の取材では、8割が経過措置を取り、取らないのは福岡、北九州、静岡、浜松の4市だった=表参照。

 採用する理由は、「国の基準に従う」(熊本、名古屋、新潟、札幌各市)が基本だが、岡山市は「国の基準に反して積極的に経過措置を設けない理由が分からない」と回答した。

 待機児童が多い大都市部では「認可保育所も幼稚園も定員オーバーの状態。協力を得るのは難しい」(さいたま市)「困難な事情をくまないといけない」(川崎市)「経過措置がないのは酷」(相模原市)など、経過措置を取らないで地域型保育をスタートさせるのは現実的ではないとの認識が浸透している。

 一方、経過措置を取らない福岡市は「来春2歳で入ってきた子が、翌春卒園したとき受け皿がないと困る」。浜松市は「認可施設は同じ条件にしないと不平等になる」と答えた。北九州、静岡両市は「認可保育所に3歳以上の余裕があり連携施設は確保できる見通しなので、経過措置は必要ない」という立場だ。

   *   *

 押さえておきたいのは、ほとんどの政令市が「連携施設を確保するのは困難」という認識があることだ。だが「困難だからどう支援するか」という点では対応が割れる。国は「市町村は連携施設のあっせんに努める義務がある」とする。

 横浜市は連携施設になることを受諾した認可保育所などに、ボーナスとして運営費を助成することを検討。千葉市は複数の連携施設を市が確保し、地域型保育を卒園する子どもごとに連携先をあっせんする方針という。両市の担当者は「行政のあっせんなしでは連携施設の確保は不可能に近い」と口をそろえる。

 堺市では、新制度に移行しない幼稚園も含めて連携施設に手を挙げてくれるよう要請している。担当者は「地域型保育は待機児童解消の切り札。待機児童解消の責任は市が負うので連携施設をあっせんするのは当然」と言い切る。

 新制度では、どんな支援を行うかは市町村に任される部分が大きい。待機児童解消で期待される地域型保育への対応は、自治体の意気込みを測る一つの指標になる。


=2014/11/01付 西日本新聞朝刊=

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