「クッキングパパ」 今月単行本130巻 うえやまとちさんに聞く 仕事も育児も家事も かっこいい男描きたかった

自宅に隣接した仕事場の専用キッチンに立つうえやまとちさん。クッキングパパに登場する料理は、ここで試作する 拡大

自宅に隣接した仕事場の専用キッチンに立つうえやまとちさん。クッキングパパに登場する料理は、ここで試作する

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 週刊モーニング(講談社)の人気漫画「クッキングパパ」が来年、連載開始から30周年を迎える。今月21日には単行本130巻も刊行。作者のうえやまとちさん(60)=福岡県福津市=にロングセラーについて聞くと、「ほのぼのストーリー」の裏に新しい男性の生き方を描きたいという熱い思いがあった。

 ‐主人公、サラリーマンの荒岩一味(あらいわかずみ)は家事も仕事も楽しくこなします。

 「30年前、連載を始める際にモーニングの担当者と料理が好きな男を描くことで意気投合しました。ただ、単身赴任をしているか、妻が病気という設定の方が説得力があるとの意見もあった。自分は単純に料理が好きな男を描きたかった。陰で料理を作りながら、表向きは妻が作っているという設定に落ち着きました。まだ、男が料理することについて社会に抵抗感があった時代だったんでしょう」

 ‐講談社によると、荒岩課長が料理をしていることは501話で部下にばれて、504話でカミングアウトします。

 「1996年の夏ぐらいの話ですね。なぜそうしたのかよく覚えていませんが、時代が変わり、そのころから男が料理をするのがかっこいいと思われるようになってきたような気がします」

 「クッキングパパの着想は『新しい形のかっこいい男を描こう』ということ。男は家の外で7人の敵と戦わないといけないというような先入観を破壊したかった。子どもの担任の先生の名前をフルネームで言える。料理を作るだけでなく、家庭のごみも出す。仕事だけでなく育児も家事もこなす。そんな男のかっこよさを描きたかった」

 ‐なぜ、家事をする男性がかっこいいと思うようになったのでしょう。

 「父は仕事一筋、母は専業主婦でした。自分は3兄弟の次男。高3のときに、母は現在の福岡県うきは市に転勤した父と一緒に、引っ越してしまった。父は家のことは母に任せきりでしたから。兄弟3人で自分たちの食事を作っていました。結婚するまでほぼ自炊でしたね。それがどう影響したかは分かりませんが」

 ‐ご自身は、荒岩課長のような仕事も家事も楽しくこなす男性だったのでしょうか。

 「35歳になった息子と29歳の娘がいます。連載を始めたころは2人とも小さかったけど、自分の子どもを持って、子どものかわいらしさにびっくりした。作品に登場する料理は全て自分で作って味を確認していますが、仕事に追われて家事は妻任せでした。保育所や小学校の運動会も見学できなかった年もあった。それでも、一番大切なのは家族という信念はずっと持ってきた。別に、イクメンなど家事や育児に理解がある今どきの男が理想だとは思わない。仕事に追われる男もかっこいい。ただ、自分は仕事も家事もこなす男がいてもいいんじゃないかという思いで描いてきただけなんです」


=2014/11/01付 西日本新聞朝刊=

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