【食用油の選び方】<下>摂取の8割は「見えない油」 飽和脂肪酸 量に注意

「いろんな油の味と香りを楽しんでいます」と語る大城戸実加さん 拡大

「いろんな油の味と香りを楽しんでいます」と語る大城戸実加さん

多種の油を生かした弁当

 健康・美容ブームに乗ってあらためて注目を集める食用油。脂肪酸の種類による違いとバランス良く取ることの大切さを紹介した10月29日付(上)に続いて、留意すべき点を紹介する。「見えない油」と「見える油」の存在だ。

 見えない油とは、肉やピーナツなどに含まれる油。日本植物油協会によると、摂取する油全体の79%を占める。ドレッシングや揚げ油などの見える油は21%にすぎない。

 油の健康への影響を考えるなら、見えない油に気を配ることが不可欠だろう。例えば脳の活性化に良いとされるオメガ3系の脂肪酸は、それが豊富に含まれる魚を取るのが近道だ。九州大の佐藤匡央(まさお)准教授(栄養化学)は「週に3回は魚を食べることを勧めたい」と言う。

 逆に現代の食生活の傾向から取り過ぎに注意したいのが飽和脂肪酸。常温で固体の肉類、ラード、バターなどに含まれる。食べ過ぎると心疾患や脳梗塞につながる恐れがあるという。

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 この見えない油は食事の取り方によって吸収に違いが出る。佐藤准教授が勧めるのは食物繊維、つまり野菜と食べること。例えば焼き肉は野菜で巻くなど一緒に食べると、食物繊維が脂質を吸着する。そうすると腸での吸収が妨げられ、体外に排出される。また吸収が遅れて脂肪組織への取り込みが少なくなることもあると考えられている。

 「見える油」を上手に使うには「まず自分の食生活を把握すること。それによって取るべき油が決まってくる」(佐藤准教授)。

 体に良いからと大量に取ってはかえってマイナスに働く。オメガ6系のリノール酸は一時、血液中のコレステロール値を下げるとして注目されたが、ヘルシーとのイメージが逆に取り過ぎにつながり、アレルギー症状の悪化などを招いているとの指摘もある。

 「伝統的な日本食中心のお年寄りなら、油は積極的に取った方が良い。控えるべきは、塩分や必要以上に取る炭水化物(ご飯、パンなど)」と佐藤准教授は注意を促している。

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 「油はおかずのアクセントです」。夫の弁当を毎日作る福岡市の主婦、大城戸実加さん(54)は言う。この日は高菜の香り付けにごま油、ホウレンソウのおひたしにはピーナツあえのアレンジでココナツオイルをほんの少したらした。マッシュルームとトマト炒めにアボカドオイルを使ったのは「トマトに合いそうだから」。

 大城戸さんは約5年前「体に良い油がある」とメディアを通して知ったのを機に、オリーブ油に加えてバリエーションを広げた。菜種、えごま、マカダミアナッツ、クルミなど10種類を数える。「仕上げに上手に散らせばしゃれた雰囲気になる。頑張った感じがするでしょう」と料理に彩りを添える油の魅力を語る。

 福岡市・天神の博多大丸の地下食品売り場にも、ずらりと商品が並ぶ。その数14種類78銘柄。オリーブ油だけでも39銘柄がある。「お客さまの問い合わせで逆に新しい品を教わることもあるぐらいです」と担当の女性(52)。購入層は広いが、特に高齢の女性が日々の食事で健康を維持しようと新しい商品を手に取る姿が目立つという。

 健康面を考えれば、伝統的な日本食を基本に考えていい。多彩な油を手軽に入手できる現在、不足しがちな油を補い、新しい油にも挑戦してみる。そんな食生活の幅を広げようという好奇心と、香りや味覚の刺激が脳の活性化にもつながりそうだ。


=2014/11/05付 西日本新聞朝刊=

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