認知症予防 ヒント探る

iPadを使ったゲームに熱中する高齢者たち=福岡県粕屋町 拡大

iPadを使ったゲームに熱中する高齢者たち=福岡県粕屋町

クリームチーズや生クリームなど乳製品をたっぷり使ったチーズケーキを紹介する村上祥子さん

 高齢者は認知症になると、要介護度が進んでしまい、日常生活の質も下がってしまう。認知症の治療法はまだ確立されていないだけに、できれば予防したい。「認知症予防」を掲げた取り組みから、普段の生活に活用できるヒントを探った。

 ●脳トレ iPad使い表情明るく

 「1分間で9枚の絵を覚えてください」。正面のスクリーンに映し出された画像を注視した後、2~3人一組になった高齢者が、タブレット端末「iPad(アイパッド)」に覚えた単語を書いていく。「ひよこ」「サボテン」…。答え合わせでは歓声や笑い声が響いた。

 福岡県粕屋町が主催する「認知機能維持向上教室」。65歳以上の男女28人が約2時間、iPadを使った「みつおか式脳若トレーニング」に取り組んだ。

 トレーニングは2009年、福岡市のシニア向けITサービス会社「サムライト」(光岡真里社長)が開発。研修を受けた講師が体操や記憶ゲーム、文字の並べ替えなどで脳を刺激する。プログラムは計100種類に上り、毎月更新、追加される。

 現在、福岡県内を中心に18自治体が介護予防事業に採用。粕屋町では12年から、認知機能に不安がある高齢者を対象に無料開催。これまでに、3カ月(全12回)の教室に164人が参加するなど、人気がある。

 参加する荒牧哲雄さん(80)は「家族に頼まれた用事や買い物を忘れることが多かったが、覚えられるようになった」。調査では、トレーニングを受ける前と後で記憶テストの正答数が高くなる傾向があり、特に、軽度認知障害(MCI)が疑われる人ほど効果がみられたという。

 開発者の光岡社長(49)は「学術研究で予防効果があるとされたことを、いかに楽しく続けてもらうかに力を入れている」と話す。粕屋町介護福祉課係長の渡辺理恵さん(43)は「iPadを使う点が高齢者、特に引きこもりがちな男性に好評。認知症の予防効果は未知数だが、参加者にコミュニケーションが生まれ、表情が明るくなるなどの効果はある」と評価している。

 ●料理 いつもの食事 一工夫して…

 生活面で「きょうの一品」を連載中の料理研究家村上祥子さんは10月下旬、福岡市で「認知症予防の介護食教室」と銘打った料理教室を開いた。

 大豆、野菜、海藻、乳製品などを多く取る人は、アルツハイマー病による認知症の発症リスクが少ない‐。九州大学大学院の研究チームが福岡県久山町で続けている疫学調査の研究結果などに基づいた、8種類のレシピを紹介した。

 大豆と豚バラ肉をみそや砂糖で甘辛く煮た「とろとろ大豆のおやつみそ」はおかゆにのせて提供。食物繊維も摂取するため、大豆は薄皮も一緒に調理する。ヨーグルトは乳酸菌が働きやすいよう、電子レンジで30秒加熱して50度前後に温めることを提案。

 また、筋力アップに必要な必須アミノ酸のロイシンを多く含む小エビの天ぷらは、ざく切りにして大根おろしであえて食べやすくする。同じくロイシンを含むタイの茶漬けは、軟らかく炊いた軟飯を使えばのみ込みやすい。

 村上さんは「認知症予防といっても、今まで食べてきたような、バランスの取れた“いつもの食事”。一工夫するだけで高齢者も食べやすくなります」と呼び掛けた。


=2014/11/06付 西日本新聞朝刊=

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