12日からDV防止運動 専門家に相談を/保護命令申し立てに課題

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 毎年11月12~25日の2週間は「女性に対する暴力をなくす運動」(パープルリボン運動)期間。今年1月、夫婦間だけでなく、同居する恋人間の暴力も保護対象に加えられた改正ドメスティックバイオレンス(DV)防止法が施行されたが、課題も見え始めた。

 同居する恋人から暴力を受けていた熊本県の女性は、途方に暮れていた。裁判所にDV防止法に基づく保護命令の申し立てをしようとしたら、裁判所側から「加害者の戸籍謄本が必要」と言われたからだ。

 保護命令とは、被害者の申し立てを受け裁判所が加害者に出すもの。被害者や子どもらへの接見禁止や住居からの退去などがある。しかしこの申し立てに必要な書類は、各裁判所の裁量に委ねられている。熊本県の担当者は「DVの被害者が加害者の同意を得て戸籍謄本を取るのはハードルが高すぎる。もう少し考慮してほしい」と運用の改善を訴える。

 背景には「同居とみなす明確な基準がない」(内閣府男女共同参画局)ことがある。このため、同居の基準や必要書類が、現場の判断に任されている。

 戸籍で証明できる夫婦と異なり、恋人間の「同居」を証明するには、住民票や公共料金の支払い名義、アパートの賃貸契約書などが有効だ。ただ、加害者側が住民票を移していない場合などは難しい。

 裁判所側が被害者救済の観点から、同居の証拠を幅広く認めようとする動き
もある。福岡県によると、県内の裁判所が発令した保護命令では、加害男性が「早く帰ってこい」と被害女性に送っていたメールの記録を同居の証拠として認めた。

 内閣府によると、全国のDV相談機関への相談件数は増えており、昨年度は約10万件。九州各地にも相談を受けるセンターがある=表参照。DV問題に詳しい春田久美子弁護士(福岡市)は「DV被害にあっている人は思考力も判断力も鈍っていることが多い。まずはセンターや弁護士などに相談してほしい」と呼び掛けている。


=2014/11/08付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ