マタハラ裁判「学生が考える」 雇用主、同僚は迷惑では 生む環境整え、支え合いを

西日本新聞社が福岡大で開いている提供講座

 生活面で11~15日に連載した「こんにちは!あかちゃん第23部『これってマタハラ?』」。この連載に関連し、西日本新聞社が福岡大(福岡市)で開いている講座で働く妊婦を取り巻く状況を紹介。人文学部の学生(女子49人、男子17人)に、実際の「マタニティーハラスメント(マタハラ)裁判」について意見交換してもらった。授業後に寄せられた感想の一部を紹介する。 
 題材としたのは、理学療法士の女性Aさんが「妊娠後に降格されたのは不当」と、勤務先の病院(広島市)を提訴したケース=図参照。一審、二審判決は病院側の主張を認め、Aさんは敗訴した。10月の最高裁判決は「妊娠による降格は原則禁止。本人が承諾したか、雇用主に特段の事情がない限り降格は違法」として二審に差し戻し、Aさんが事実上勝訴した。

 授業では、Aさん、Aさんの同僚、院長(雇用主)の立場から意見を出し合った上で、グループごとにマタハラに該当するか「判決」を下してもらった。三者三様の言い分を思い、判断を迷う声が多かった。

 ◇Aさんの立場だと納得いかない。しかし病院や同僚側は、いつでも病院に来られない人に副主任を任せるのは、気が気でないかもしれない(Tさん)

 ◇Aさんが復帰後に副主任をさせても良いのではとも思ったが、今の副主任が代わりに降格されるのもおかしい(Sさん)

 同僚や病院側に共感する意見も少なくなかった。

 ◇周囲の人からすると、仕事も増えたりして正直、迷惑だと思う(Nさん)

 ◇優遇しろという姿勢がそもそも平等でない(Uさん)

 ◇働けないときにフォローしてもらうのを考えると、働けること自体がありがたい。(マタハラを禁じる)法律があるとはいえ謙虚でいた方が良いのではと思ってしまう(Kさん)

 双方に理解を示しながらも、意識転換を訴える声もあった。

 ◇自分はマタハラではないと思ったが、このような考え方を変えていかないと、今後も変わらないんだろうな(Oさん)

 ◇自分には関係ないと思っていたが、マタハラを受ける側にもする側にもなる可能性があると分かった。一、二審で敗訴したのは、男女共同参画の考えが広まっていないということなのだろう(Iさん)

 少子高齢化問題や女性の活躍など、社会問題に結び付けた意見も。

 ◇産みたいと願う人が何のためらいもなく産み、周りも素直に支えられる社会であるべきだ。介護問題も同じ(Tさん)

 ◇日本は少子化問題を抱えているのに、土台となる子どもを産む環境が整っていない点が一番深刻だ(Mさん)

 ◇私は定年まで仕事を続けたい。マタハラなどの問題を聞いていると、結婚も子どもを産むことも仕事の壁となっている気がする(Nさん)

 ◇女性のトップの少なさや、(東京都議会の)塩村議員に対するセクハラやじ、(元厚労相の)「女は子どもを産む機械」発言などを考えると、まだ男女の格差はかなりある(Iさん)

 留学生はこんな意見だった。

 ◇中国では子どもを産んで復職するのが普通で、共働きの夫婦も多い。マタハラはあまりない気がする(Yさん)

 ◇社会の変化に人々の意識が追いつけていない感じ。会社は確かに利益を重視すべきだが、妊娠した女性への思いやりがあれば、マタハラもなくなるのではないか(Jさん)

 もちろん、妊婦や育児中の人が働きやすい企業もたくさんある。これから社会に出る学生たちが、そんな企業を選んで就職することも、マタハラのない社会づくりにつながるはずだ。


=2014/11/29付 西日本新聞朝刊=

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